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    ahorn3141

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    POIPOI 17

    ahorn3141

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    とりあえず書けたとこまで置いておこう。オモダカさんの父親がシアノさんという妄想の末の話。色々と捏造。
    続きは書けるかどうかは知らない。もうちょっとくらいは書いてたけど完成するとこまで書けるかは知らない。

    エアプシアノさん「やぁ、アオキくん。今日は特別講師に来てくれてありがとう」

     帰ろうと思ったところで、アオキを待ち構えるかのように立っていた人影に、アオキは軽く眉を寄せた。彼は友好的な、だがどこか圧を感じる笑顔をアオキに向けた。

     ブルーベリー学園から、パルデアのジムリーダーや四天王などの実力者の特別講義をするよう依頼があり、それを受けて欲しいというオモダカからのお達しが来たのは、あの学園が出来て3年が経った頃だった。
     ブルーベリー学園の校長であり創設者であるシアノはオモダカの父親である。彼はパルデアのポケモントレーナーの頂点にいるオモダカが逆らえない数少ない人間だった。そんな父からの依頼であるのに加えてオモダカ自身も未来ある若者たちの望みであると言われたら蔑ろに出来るはずもなく。ほぼ全員が本業を別に持つジムリーダー達の業務に支障がないようにと色々と調整はしてくれたものの、結局新たな業務が追加されることとなった。
     既にアオキも何度か来て講義をしているし、学食の味もだいたいわかっている。味は中々悪くないのだが周りの生徒たちの視線が気になるのだ。バトルに特化した学園らしい話だが、それこそ視線が合ったらバトル、という風潮のある地方にあるあの学園ではぼんやりしているとすぐにバトルを強請られる。そして一人の相手をしたら気付いたら他の生徒が列をなしていることもある。それが面倒で、最近は講義を終えたらさっさと帰路についている。

     けれど今日はシアノがそうしてまっすぐ帰宅しようとしたアオキを引き止める。

    「アオキくん、少し付き合ってくれるかい?」
    「今日はちょっと、戻らなければならない案件が」
    「おや、今日も仕事が残っていたのかい。すまないね、オモダカにはそんなに君に仕事を詰め込まないように叱っておくから」
    「いえ、結構です」
     
     変わらず笑顔だが、アオキが口から出まかせを言って逃げようとしているのには気付いているようだった。そこにオモダカの名前を出して更に逃げ道を塞ごうとしてくる。今日戻らなければならない案件は実際にはない。
     笑顔の圧を受けながらこういうところはオモダカに似ている、と考える。いや、順番としてはオモダカがシアノに似ているのだろうが。

     まぁ人をダシに使うなとオモダカに後で叱られるだけだろうが、その為にもし本当にシアノがオモダカを叱ることがあれば流石にきまりが悪い。そんな風に墓穴を掘ってしまって結局校長室に連れ込まれてしまった。



    「で、アオキくん。いつうちのオモダカを貰ってくれるんだい?」

     手ずからお茶を淹れようとするシアノを止めると、彼は単刀直入にそうアオキに問い掛けてきた。表情は柔和だが目は笑ってはいない。そんな彼から目を逸らして、アオキは往生際悪く言う。

    「……自分とトップはそんな関係ではありませんよ」

     おそらく既に調べはついているのだろう。自分とオモダカの関係について。
     確かに、少なくとも肉体関係はある。しかも割と頻繁に。
     オモダカの方からも時折誘いをかけてくるし、アオキから求める時もある。オモダカに拒まれたことは体調的に出来ない理由がある日を除けばない。多分身体の相性は悪くないのだろうと思う。
     だが、お互い甘い言葉を吐くこともなければ、望まれたこともない。それを口にしてしまったらこの関係が終わってしまいそうで、アオキもオモダカにはっきりと愛を囁いたことはない。
     見ていればわかる。オモダカは結婚や交際といった甘い語らいを望んでいない。甘えるようにすり寄ってきたり、キスをねだられたりすることはあっても、はっきりと言葉にすることは必要ないと言わんばかりの行動を取ることが多かった。言おうとしたこともない訳ではなかったが、露骨に話題を変えられたりその唇を塞がれたりしていればなんとなく察することは出来る。
     このままずるずるとこの関係を続けるのが最善だとは思っていないが、下手に自分から動いてこの関係が壊れる方が怖かった。

     けれど彼女の父にそこを指摘されるのは出来れば勘弁して頂きたい。まぁ、アオキに娘はいないからわからないが、もし娘がいてそんな関係を持つ男がいたとしたら止めたくなるだろうなとは思うが。
     
    「まぁ娘だっていい大人なんだし、どんな関係でもお互いが納得しているなら口を出す気はないんだけどね」
    「それでは、何が」
    「いや、そろそろオモダカに持ち込まれる縁談を握り潰すのも限界が近くてね」
    「……縁、談?」

     シアノの言葉にアオキは固まる。縁談。結婚の申し込み。脳がその単語の意味を理解することを拒む。オモダカが誰かと結婚することになるということだろうか。自分以外の誰かと。そんなアオキの顔色を観察しながら、シアノは言葉を続ける。

    「残念ながら僕はオモダカ以外の子に恵まれなかったからね。うちの家のことは全く知らない訳ではないんだろう?」
    「詳しくは知りません。皇帝の末裔だとか、そこそこあちこちの分野を牛耳っている親族がいるとか、それくらいです」
    「まぁそれくらい知ってれば十分かな」

     オモダカが若くしてリーグの委員長やアカデミーの理事長に就任したのは半分くらいはそれが理由なのだろう。もちろんトップチャンピオンを務めているのも、委員長としても理事長としても立派に立ち回っているのも彼女の実力だろう。とはいえ本人はその出自を誇ることはおろか、自分から口にしたことも数えるほどしかない。実際先祖や親戚がどうであろうと今のリーグの状況にはさほど関係はないのでアオキも気にしたことはなかった。

    「一応うちが本家ってことになってるからね。当然オモダカにも早く結婚して子を作れと思っている親戚は山のようにいるんだよ。自分の子や孫を婿入りさせたいとか、取引先の子息を紹介したいとか、まぁ色々ね」
    「はぁ」
    「でも、僕としてはオモダカには本当に愛する人と結婚して幸せになって欲しい。そう言って縁談の類は軒並み握り潰してきたんだ。けど、オモダカの年齢的に、そろそろ握り潰すのも限界に近くてね」

     彼女はそろそろ三十路が見えてくるくらいだったか。確かにそろそろ一般的には結婚に対するプレッシャーが強くなってくる頃だ。彼女のような良家であれば猶更。
     けれどアオキはオモダカからそんな話を聞いたことはない。アオキとは全く関係のない話だと思われているのだろうか。

    「本人からそんな話は聞いたことはありませんが」
    「まぁそうだろうね。本人は養子を取ればいいでしょうとか言っていたし」

     ポピーを養子に貰えないかと割と本気で画策しているみたいだからね。と彼は苦笑する。確かあの子もオモダカの親戚筋だと聞いたことはあるし、オモダカなら本気でそれを望んでいそうだ。
     けれどおそらく周りはそれだけでは許す気はないということなのだろう。おそらく、シアノを含めて。

    「厄介なことにオモダカも君との関係を話題には出そうとしないからね。まぁ僕以外にも君とオモダカの関係について勘付いてる人間はいるけど、本人が一度も認めないから様子を見ているところだね」
    「……そうですか」
    「君がオモダカのことをどう思っているのかはわからないけれど、ただの遊びなら十中八九、二人の関係を切らせようと動き出す人間が出てくる。そうでないなら、ぬるま湯に浸っていないでもう少し何かアクションを起こして欲しいかな」

     ぬるま湯、というシアノの言葉に、アオキは反論する言葉を持たなかった。彼の言う通り、今のアオキとオモダカの関係はぬるま湯のような心地よさと退廃的な空気があった。
     けれど、そこから抜け出さないといけないと、そういうことなのだろう。

    「あぁ、ここで君の気持ちは言わなくてもいいよ? オモダカにも言ってないことをここで僕が先に聞くのも違うだろうし」

     そう言ってシアノは笑みを深める。
     それは正直ありがたい。既にアオキの気持ちは見透かされてはいるのだろうが、ここでわざわざ彼女の父に自分の思いを告白したくはなかった。
     別に自覚がない訳じゃない。この関係が始まる前から今までずっと、アオキの気持ちは変わっていない。
     アオキ自身そこまで結婚願望がある訳ではないが、オモダカ以外の誰かと結婚するつもりなんて微塵もなかった。
     少しだけ決意を固めたアオキに、シアノは満足そうな顔をして、そして付け加えるように言う。

    「そうそう、別に順番がどうとか言わないよ。僕も孫の顔は見たいしね。あの子の父親として」
    「……しません。そんなことは」

     いきなり彼女の父親らしからぬ言葉を投げかけられ、思わず渋面を作る。確かにいっそ孕ませてしまえばオモダカも結婚を了承してくれるかもしれない。けれどそれは悪手でしかないだろう。きちんと口説き落としてからではないとオモダカの想いは一生手に入れられない気がする。
     思わず顔を顰めていたアオキだが、気を取り直してシアノに頭を下げる。

    「ありがとうございます」

     多分アオキに今日声を掛けたのは紛れもない善意によるものだろう。だから素直に礼を言う。アオキに対しての気遣いというよりはオモダカへの想いゆえだろうが、それでも別に構わない。柔和な笑みを浮かべて手を振るシアノに一礼すると、アオキは校長室から退出する。

     とはいえ、オモダカに何を言えばいいのかは全く見えなかった。
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    ahorn3141

    MOURNINGとりあえず書けたとこまで置いておこう。オモダカさんの父親がシアノさんという妄想の末の話。色々と捏造。
    続きは書けるかどうかは知らない。もうちょっとくらいは書いてたけど完成するとこまで書けるかは知らない。
    エアプシアノさん「やぁ、アオキくん。今日は特別講師に来てくれてありがとう」

     帰ろうと思ったところで、アオキを待ち構えるかのように立っていた人影に、アオキは軽く眉を寄せた。彼は友好的な、だがどこか圧を感じる笑顔をアオキに向けた。

     ブルーベリー学園から、パルデアのジムリーダーや四天王などの実力者の特別講義をするよう依頼があり、それを受けて欲しいというオモダカからのお達しが来たのは、あの学園が出来て3年が経った頃だった。
     ブルーベリー学園の校長であり創設者であるシアノはオモダカの父親である。彼はパルデアのポケモントレーナーの頂点にいるオモダカが逆らえない数少ない人間だった。そんな父からの依頼であるのに加えてオモダカ自身も未来ある若者たちの望みであると言われたら蔑ろに出来るはずもなく。ほぼ全員が本業を別に持つジムリーダー達の業務に支障がないようにと色々と調整はしてくれたものの、結局新たな業務が追加されることとなった。
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