第17回 「魔除け」 ひゅおおおお、と吹き荒ぶ風が鳴く。叩かれたように赤く色づいた耳と白く立ちのぼる呼気。一段と冷え込む季節になったこの時期は、北の国各地で冬を越すための魔除けの祭が行われる。
元々は人間どもが生きていくには厳しい北の自然のなかで来春までの無事を祈りあう儀式が始まりのそれ。けれど自然の厳しさは人間魔法使い問わず平等に振るわれること、魔法使いは心躍ることに目がないことなどからいつしか人間の風習だったそれに魔法使いも紛れては各人の縄張り下で祭として取り入れられるようになっていった。
それはここ、死の盗賊団でも同じく――
「ボス! ここの飾りはどこに仕舞いましたっけ」
「ワイン樽置いてる部屋の更に奥の湿気た部屋だ、ってこれ去年も言わなかったか」
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