婚約者と兄「なぁナイン。お前を紹介したい奴がいる。」
「お母様とは先日お会いしましたが?」
首を傾げる婚約者。息子の恋人がアンドロイドだと知った母は少し驚きつつも祝福してくれた。ナインを大層気に入ったようだ。あんなに喜んでくれるなら親孝行を兼ねて帰省する回数を増やしてもいいかもしれない。だが、今回は違う。
「違ぇよ。兄貴。」
「あ、に…き?」
「ああ。流石に挨拶しとかねぇと不味いだろ?」
「あ…にき?ギャビンの兄貴…?」
先程からナインの様子がおかしい。壊れたレコードのように同じ単語を繰り返す。
「一つ質問しても?」
「どうした?」
「兄貴とはお兄様のことで間違いないですか?」
今度は此方が首を傾げる。
「ナインでいうコナーみたいな奴のことだ。」
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