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    85_yako_p

    カプ入り乱れの雑多です。
    昔の話は解釈違いも記念にあげてます。
    作品全部に捏造があると思ってください。

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    85_yako_p

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    アスランと道流と虎牙ちゃん。(2020/02/11)

    ##アスラン
    ##THE虎牙道
    ##カプなし

    虎牙ちゃんの学習 違うんだ。ふたりとも、違うんだ。口にできない心の声が自らの脳を埋めてしまい、アスランの話が半分くらい入ってこない。
     話半分、だなんてアスランに失礼だとわかっている。それでも背後に感じる視線に意識が割かれてしまう。ちら、と盗み見た視線の主であるタケルと漣。遠慮がちなそれと不躾なそれは、同じように期待を滲ませている。
    「それならば氷魔の吐息を防ぐ加護を………………ミチル?」
    「あ、ああ。すまんアスラン。ええと、生地の話だったな」
     がた、と背後で音。タケルが漣を咎める小さな声が耳を掠めた。ああ、きっと『生地』の意味が勘違いされている。ふたりとも、生地ってのはサタンに着せるケープの生地なんだ。決してたいやきとかお好み焼きとかの、そういう生地じゃない。
     自分がアスランと会話をする時、タケルと漣は期待しているのだ。昔とも最近とも言えぬ頃、アスランに教わった洒落た洋食を二人に振る舞った。それを二人は覚えている。たっぷりのチーズと生クリームをまとった肉の味を二人は覚えている。「アスランに教わったんだ」という、自分の言葉を覚えている。
     だが、今日はそうではない。今日はサタンとかのんのうさぎさんに着せる、おそろいのケーブの話をしているんだ。きっと二人はアスランが口にした「ベルベット」の意味を知らない。多分、調味料かなにかだと思っている。それは生地の話だ。いや、生地って言葉も勘違いされているんだけどな。
    「で、あればフラウの涙を数滴ほどだな。これは……」
    「ああ、自分が用意しよう」
     また背後で気配。タケル、漣。アスランの言うフラウの涙は食材じゃないぞ。これはスワロフスキーの話だ。自分がこれから行くのはスーパーじゃなくて手芸店だ。
     自分は別に悪いことも酷いこともしていない。それでも帰り道、スーパーへ行くと信じ込んでいる二人が手芸店に連れて行かれたときの顔を考えると胸がしくしくと痛むのも事実で。
    「……なあ、アスラン。ちょっと聞きたいんだが」
     ケープの話が一段落したタイミングで問いかける。「寒い日にオススメのレシピはないか?」
     楽しそうにレシピを挙げてくれるアスランと、聞こえるくらいの音量まで盛り上がっている二人の声。どうやらじゃんけんで勝ったほうの肉が多くなるらしい。
    「リクエストなんだが……肉を使った料理で頼む」
     ああ、自分は二人に甘いなあ。
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