魔法のお弁当「らーめん屋。オマエ、『タコサンウインナー』って知ってっか?」
「おお、知ってるぞ」
「それ作りやがれ! 『タコサンウインナー』は弁当に入ってるんだろ? 明日事務所で食うから、弁当用意しろ!」
「わかったわかった。しかしお前さん、タコサンウインナーが食べたいなんて可愛いところがあるじゃないか」
「はぁ? なんで『タコサンウインナー』が食いたいとかわいくなるんだよ。意味わかんねえ」
「そうか? そうだな。漣に失礼だったか」
「わかりゃいいんだよ。しかし、らーめん屋に作れるなんてな」
「いや、まぁ手先は器用なほうだしなあ」
「で、結局タコがウインナーになるのか? ウインナーがタコになるのか?」
「……んん?」
「ま、明日になればわかるか。あとは唐揚げが食いてえ。いれろ」
「…………リンゴもうさぎさんにしてやろうか?」
「リンゴがうさぎになるのか……?」
「……なるぞ」
「マジかよ……でも、うさぎは食えねえだろ」
「なんと、うさぎさんになったリンゴはな、食えるんだ」
「…………」
「明日、楽しみにしててくれ。タケルの分も作らないとな!」
***
「らーめん屋ぁ! これただのウインナーじゃねえか! リンゴもリンゴだし!」
「ははは! いや、すまんすまん。つい、な」
「そんなこと言ったら、メロンパンだってメロンに似たパンだろ。バカ」
「うるせえぞチビ! だいたい、アップルパイにはリンゴ入ってるだろ!」
「どうどう。なんなら、今度はおにぎりを鞠にしてやろうか?」
「いらねえ!」