もうコタツから出たくない ついに我が家もコタツを出した。タケルも漣も気に入ったんだろう。漣はうちにくると真っ先にコタツに入るし、タケルも何も手伝うことはないとわかるとコタツに吸い込まれていって漣と小競り合いをしている。
自分もコタツが好きだ。こうやって、一度入ると出るのが億劫になるほどに。それこそ、トイレに行くのもめんどうだ。
「タケル……代わりにトイレに行ってきてくれないか?」
そう投げかければ、漣が醒めた目で見てくる。何を言ってるんだ、と目が訴えている。
だが、タケルはわりとノリがいいのだ。
「仕方ないな。他でもない、円城寺さんの頼みだ」
そう言って本当にトイレに向かうタケル。チラ、と盗み見ると、完全に混乱した様子の漣がうろたえている。
「……なんでチビが、代わりに……?」
そんなカラクリはないと教えてやろう。もう少し、時間が経ってから。