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    85_yako_p

    カプ入り乱れの雑多です。
    昔の話は解釈違いも記念にあげてます。
    作品全部に捏造があると思ってください。

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    85_yako_p

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    ワードパレット14「マタル」キーワード「曇天・滴る・水溜まり」
    四季と漣。(2019/07/25)

    ##伊瀬谷四季
    ##カプなし
    ##牙崎漣

    マタル 曇天。普段は憂鬱なそれをオレは受け入れた。まるで、この空がオレの気持ちを代弁してるみたいって思ったから。
     泣いちゃいたかったけど、代わりに泣いたのは空だった。一過性の通り雨が、悲しみのように勢いを増す。きっと雨は通り過ぎるけれど、このぐちゃぐちゃな気持ちにゴールなんて見えない。
     ぽた、ぽた。髪から滴る雫はそのまま水溜まりの一部になる。オレのもやもやみたいなものが、地面に広がっていく。上も前も向きたくなんてなかったから、その憂鬱な池を見ていた。
     こんなの、すぐに止む。それが癪だった。雨が終わっても雲が切れても、意地でも顔をあげたくなかった。オレはずっと、この悲しみをネコっちを抱くように温めていたかった。自分の持ち物なんて、たったこれだけだと本気で信じていた。手放したら、心のどっかもくっついてって、なくなっちゃう気がしてた。水溜まりにはぐちゃぐちゃの自分。映し出された悲しみが水滴で揺れる。
     しばらくそうしていた。そうしていたかった。止まない雨があればいいのに。ずっと、こうして閉じこもっていたかった。
     それでも、声が聞こえてきた。漣っちの声は漣っちそのものみたいに、まっすぐに雨を駆け抜けてオレの耳に届く。ずっと俯いていたかったはずなのに、反射的に顔をあげてしまった。偶然だってわかってるけど、まるで漣っちがオレの気持ちを晴らしたみたいに雲に切れ間が見えた。差し込んだ光に目が眩む。
     漣っちがこっちを見てる。普段は傘をささない漣っちが傘を持っている。それだけでわかってしまった。漣っちはオレを迎えにきたんだ。
     漣っちはこっちにこない。きっとオレがそっちに行くのを待っている。待つのが嫌いな連っちが、呆れたように待っている。もう用なんてない傘を畳まずに、待っている。
     足元にはオレの悲しみが集まった水溜まり。膝を抱えていた腕の中には愛おしい悲しみ。オレをいろんなものから守る、憂鬱って名前のベール。
     それでも、全部を捨てて、オレは行かなくちゃ。
     ごめんねって呟いて、悲しみを手放す。踏み出した足が水溜まりをばしゃりと踏みつける。オレの閉じこもっていた鏡が砕けて波打って、それはたんなる水溜まりになる。
     代わりに空が、心を映し出すように柔らかく虹をかけた。
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