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    85_yako_p

    カプ入り乱れの雑多です。
    昔の話は解釈違いも記念にあげてます。
    作品全部に捏造があると思ってください。

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    85_yako_p

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    アイツの概念が欲しいタケル。カプなし。
    100本チャレンジその10(2021/12/19)

    ##100本チャレンジ
    ##牙崎漣
    ##大河タケル
    ##カプなし

    結局天井した アイツがいない。アイツがほしい。いや、語弊があるな。俺はアイツの演じたキャラクターが欲しかった。
     俺たちがハマってるゲームに新規実相されたキャラクターの声を当てたのは、よりによってアイツだった。そのキャラクターのカードを入手すると読めるエピソードには既存のキャラクターもたくさん出てくるらしく、俺の好きなキャラクターもでるらしい。おまけにそのキャラクター自体も見た目がかっこよくて、しかも強いときた。紹介エピソードを見る限り、かなりの好青年であることも知っている。声がアイツなのにいいやつだとか、バグみたいだ。
     最高レアリティで実装されたアイツ──便宜上アイツと呼ぼう──を手に入れようとして、手持ちのアイテムをすべて使ったけどダメだった。まぁ、とにかくこない。あと二万円使えば確実に手にはいるのだが、なんとなしにそれは癪だった。いわゆる『天井』と呼ばれる行為の初めてを、よりによってアイツに捧げるというのは、なんかムカつくから。
     とはいえ、じゃあ、とすっぱり諦めきれるものでもない。期間限定キャラクターは、次にいつ登場するかわからない。強くて格好良くて、悔しいことに声もいい。落ち着いたアイツの声はこんな感じなのかと知る。こんなの全然別物なのにアイツだとわかるような、そんな声だ。ラーメンを食べ終えて、隣でいつものように騒ぐコイツの声を聞きながら溜め息をつく。コイツが欲しいっての、本当にイヤだな。無視して惰性でゲーム画面を開けば、フレンド欄にコイツがいた。恭二さん、引いてるじゃないか。もうダメだ。やっぱり欲しい。
    「タケル、もう行くのか?」
    「あ、いや。少しコンビニに行ってくる」
     課金をするために、とは言わなかった。寒空に放り出された俺を追いかけてきたのは、渦中の人であるコイツだった。
    「おい! 何しに行くんだよ」
     オマエを手に入れるために二万円払ってくるんだ。とは言えない。ついでにそのキャラクターが好きだというプリンをおまじない──召還の触媒に買うつもりだとも、言えるわけがない。巡る言葉は思い至って、ひとつの結論に辿り着く。
    「…………触媒」
    「ハァ?」
    「オマエ、もしかしたら一番強力な触媒なんじゃないか……?」
    「しょくば……? ま、オレ様は強力どころか、最強だからなぁ!」
     ようやくチビもわかったか、と誇らしげな顔をしたコイツの手を握る。天井しなくて済むかもしれない。
    「……オマエが必要だ」
    「……ハァ?」
    「どうしても、オマエが欲しいんだ」
     言い方を間違えたと悟ったのは、本気で嫌そうなコイツの顔を見てからだ。嫌そうな顔するな。俺だって嫌だ。
    「…………頭おかしいんじゃねぇの?」
    「違う。本当に違う。オマエはいらない」
     自分の言葉にげんなりしつつも、とりあえず一万円だけ魔法のカードを買った。
     とりあえずコイツの指を借りよう。いわゆる、ジンクス、おまじない。天井しなくて済んだなら、たいやきくらいは買ってやろうと思う。
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