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    85_yako_p

    カプ入り乱れの雑多です。
    昔の話は解釈違いも記念にあげてます。
    作品全部に捏造があると思ってください。

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    85_yako_p

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    お題『電球、流れ星、隣』で書きました。SF(少し不思議)な百々人くんです。仲良くなりたいという感情はある三人。(2023/11/10)

    ##花園百々人
    ##眉見鋭心
    ##天峰秀
    ##カプなし
    ##C.FIRST

    ガラスの欠片が落ちる夜「僕が電球を壊すと夜に流れ星がひとつ降る」
     唐突に百々人が言った。俺と百々人と秀は事務所が契約している貸し倉庫で今度撮影するオフショットのネタになりそうなものを探している最中だった。
    「試してみる?」
     百々人は『こんなものを見つけたので思い出しました』とでも言うように、倉庫に眠っていたであろう金属製のバットを片手に首を傾げてみせる。
    「流れ星。願いが叶うかもよ」
     甘くざらついた、いつも通りの百々人の声だ。俺はその言葉に、自分の願いなど叶える必要はないのだと告げるかを少しだけ迷う。きっと言うべきではない。そう結論づけて、ではなんと返そうかと考える俺を横目に秀が口を開く。
    「倉庫の電球を壊したら怒られますよ」
    「んー。じゃあさ、倉庫じゃなかったらいいの?」
    「ダメですけど……そもそも電球って今時見なくないですか?」
    「そうだね。だからこれは大チャンスなんじゃないかな」
     百々人はバットを持ち上げてゆらゆらと揺らす。上背のある百々人が腕を伸ばせば、鈍器としての役割を与えられたバットは容易く電球に届いた。
    「……いや、大丈夫です。電球は割らないでください」
    「そっか。残念」
     百々人はあっさりとバットを置いた。そして何事もなかったかのように倉庫の物色に戻った百々人に俺は問いかける。
    「……何故そのようなことを教えてくれたんだ?」
     俺たちに流れ星を見せたかったのか。そう聞けば百々人は少しだけ残念そうに微笑んだ。
    「僕がいるところに星は降る」
     ゆら、と電球から照るオレンジ色の光が百々人の髪を揺らす。
    「キミたちが流れ星を見たいと言ってくれたら、僕らは一緒に夜を過ごすことになる」
     俺と秀は息を潜めるようにして百々人の言葉を待つ。
    「……夜になって、星が見えるころ。キミたちの隣にいてもいい理由が欲しかった」
     だから、残念。百々人はそう言った。
     俺は口を開こうとした。百々人が望む言葉を渡そうとしたのか、自分の本心を晒そうとしたのかもわからずに、何かを口にしたかった。蒙昧な心が形を得る前に、秀が言う。
    「なら普通に一緒にいましょうよ。鋭心先輩が馴れ合いを好きじゃないのも百々人先輩と俺の相性が悪いのもわかってるけど、百々人先輩が一緒に星を見たいっていうなら……それでいいんだと思います」
     俺がいていいのかわからないけど、だなんて柔らかな棘で茶化しながら秀は言う。きっとこれも紛れもない秀の本心なんだろう。俺は百々人に必要なのは秀の言葉だと思い、二人を見守る。
    「俺んちなら多分泊まっても平気ですよ。別に絶対に見れなくたっていいじゃないですか。三人で降るかどうかもわからない流れ星を探しましょう」
    「……すてきだね」
     百々人は俺たちに背を向けた。
    「願い事があれば……流れ星が見たくなったら言ってね」
     その言葉を最後に会話が終わり、俺たちは改めて倉庫内の物色に戻る。俺が白衣やら警察官の服やらを段ボールから見つけたあたりで、秀がこっそりと耳打ちしてきた。
    「勝手なこと言っちゃいましたけど……もしも流れ星を探すことになったら、鋭心先輩は来てくれますか?」
    「……もちろんだ」
    「やった」
     秀が素直に喜ぶから会話を打ち切るには惜しくなった。俺はあえて百々人にも聞こえるような声で問いかける。
    「秀は流れ星に何を願うんだ?」
     秀の解答はわかっていた。きっと百々人だってわかっていた。
    「夢は自分で叶えます」
     百々人が少しだけ笑う。秀は「だから、」と続ける。
    「流れ星を見たら……この夜がもう少し続きますようにって、そう願うと思います」
    「……そうか」
     秀は言ってから照れくさくなったんだろう。空気を切り替えるように返してくる。
    「鋭心先輩は? 百々人先輩も、何を願いますか?」
     少しだけ心臓が跳ねる。俺に願いがなくても、たとえあったとしても、差し出すならば最適解を。それでも、嘘じゃないと言い切れる言葉を。
    「お前たちをもっと知れたらと、そう願う」
    「ふふ、僕もおんなじ」
     そう言いながら百々人が様々な色のかつらを持ってこちらに近づいてくる。百々人が口を開いた時、話題は完全に移っていた。
    「アフロがあったよ」
    「アフロだな」
    「アフロですね」
     使い道などひとつなのに秀は「何に使うんですか?」と笑う。
     俺たちの頭上で電球がゆらゆらと灯っている。柔らかなオレンジ色で俺たちをぼんやりと照らす。ふわ、と舞った埃がきらきらと光っていた。
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