「お願いします…!」
ソファーに座る門倉のすぐ足元で土下座のような体勢になっている梶。
あまりの勢いに押されながら門倉は思わず遠くの壁を見た。
「ええと、梶様もう一度よろしいでしょうか?」
「はい。1度でいいので門倉さん、抱かせてください」
先程聞いた文言と全く同じ事を繰り返した梶に門倉は言葉を詰まらせる。梶だって抱きたいって思う事くらいあるだろう。そこはまあ…納得するが問題はそこではない。
「女性相手ではなくてよろしいのですか?」
女性経験があるのか果てしなく謎な目の前の青年に思う。ひょっとしたら童貞かもしれない…女の方がいいんじゃないか?そんなパッと思いついた門倉の純粋な疑問だった。
「…いえ、門倉さんがいいです…!」
ずっと俯いていた頭を上げて梶は真っ直ぐと門倉を見つめる。梶の目の奥にゆらゆらと揺れるものを感じ、不覚にも心臓が跳ねた門倉の口は自然と動いた。
「そこまで仰るなら、この門倉一肌脱ぎましょう」
とはいえ用意がある、と道具を持ってリビングを後にした門倉は壁にもたれた。