世界が狂う?『すまんが、フェンリルの番になってくれ』
「は?」
デミウルゴス様にお供えするために声をかけると、開口一番によく分からないことを言われた。
つがい……つがいってあれだよな、要するにフェルと夫婦になれってこと?
「とりあえず、理由を聞いてもいいでしょうか」
『結論から言うと、このままでは彼奴は魔王となりこの世界を滅ぼす』
「フェルが魔王に!?なんで!?」
『お主には申し訳ないと思ったのじゃが、この先の未来を見たら……数年後に可愛いおなごに求婚されてのう、それで』
「えっ、俺結婚できるんですか!」
ついに俺にも春が来るのか。
『いや、恋人が出来たと知った瞬間フェンリルが大暴れするのじゃ。それで』
なん、だと……てことは何か、俺は一生誰とも結婚出来ない……?
『そうゆうことじゃな』
「俺の心を読まないでください……えーっと、俺が番う以外に回避する方法はないんでしょうか」
『あるかもしれんが、これが一番手っ取り早いじゃろ。それに、お主も嫌ではなかろう。では、頼んだぞ』
「あっ、ちょ、まっ!」
俺が返事をする前に、デミウルゴス様との会話は終わってしまった。
「マジかー……」
俺の今後次第で世界が変わるって、ちょっと荷が重すぎる。
でも……。
「世界のためだ、仕方ない。うん、世界のためだもんな」
翌日、俺はフェルに好きだと告げた。