恋と情は似て非なる純情科学少年は人肌が恋しいらしい。
共寝をするようになって気付いた。
たぶん、自分はもっと前から気付いていたのだろう。
そうして気付かぬふりをしていたのだ。
同衾して体温の高い彼から移る熱は心地よいけれど、それだけでないことが苦しい。
もう少しの間、荒ぶる欲に見ぬふりをする。

千空ちゃんがしつこい！あんまりしつこい男は嫌われるんだからねキスの合間に触れてくる手のひらは臆病なまでに慎重に体の形を辿る。
脇は弱いので掠めるたびにビクビクと肩が跳ねた。
首筋から、肩、胸、臍、そしてもっと奥。
「ちょいちょいちょいぃ」
「どんな鳴き声だ、てめぇ」
ブハッと吹き出す千空を制止した。まだしつこく唇を寄せるので怒る。

「どういう現象だ、そりゃあ」「新月の夜だけ一人にして。探さないで、大丈夫だから」
そんな言葉一つ置いて、月に一度どこかへ消える蝙蝠男。
月に一度、どこからか幼児の泣く声がすると村のものが言い出して。
千空はげんのあとをつけた。
「あぁあ。探さないでって言ったのに」
小さくなったゲンが悲しそうに彼を見た。

一生治らない病です目にうつるもの全てが桃色に見えるというので、何を言ってるんだ？この駄メンタリストは。…と訝しげにゲンを見ると、ようやく彼の異変を理解した。
目元がほんのりと色づいて日焼けのない肌がうっすら熱を帯びている。
つまりかなり色っぽい。グッとくる。体が疼く。
「う…不整脈が出てやがる」

シャル　ウィー　ダンス？水際に千空が立っていた。
「こんな夜中に散歩か？メンタリスト」
湖の上に立っているゲンの足元に視線がひたと当てられている。
「そういう千空ちゃんも、お散歩？」
「俺は夜な夜な湖の上を踊り狂っている精霊様を拝みに来たんだが？」
ゲンは笑いながら彼を誘った。
「お手をどうぞ」