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    帽子屋(とある星の語り部)

    うちよそは、穏やか雰囲気で。
    うちの空は、ほんのりビターな雰囲気で。

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    うちよそ【ゼラ✖️蓮水】【蓮兎✖️レア】

    ※蓮水の出番少ない

    料理の天災その日、俺は親愛なる恋星に心の内を伝えることを決めた。
    いつかは伝えたいと思っていた。
    しかし!今まで決心が出来なかった。
    しかしこの思いを伝えずにはいられない




    「俺に、話って?」
    最近、ようやく恋星となったレアを晴れ間エリアの丘に呼び出し、少し緊張した面持ちで土下座した俺にレアの表情が強張る。

    「知り合いに料理上手な交渉人、いませんか?」

    「はぁぁぁぁぁぁぁぁ???!!!!」

    レアの声が、晴れ間エリアに響きわたった。
    (声、でかいよな。レア)

    ー-ー-ー


    「んで?どういうこと??(急に土下座するから不安になっただろ!バカ!)」
    ひとまず落ち着いたレアが仁王立ちで説明を求めてきた。
    (この立ち姿いいな。よく似合ってる)
    そんなことを考えているのに勘づいたのか、レアの視線が鋭くなり、慌てて俺は話し出した。

    「あの相談というか...蓮水の作った弁当で雀がまた気絶して...」
    「は?雀?またって、どういう意味??」

    「俺は耐性出来てきてるけど、他の星の子に被害出るのは困ってて...」
    「耐性って何の?被害って何??!」

    「でも蓮水、毎回、笑顔で渡してくるし...食べると嬉しそうに笑うし...断ると、悲しい顔するし...」
    「はぁ?あぁ…うん。つまり?」

    「つまり...自覚なしの料理下手に、料理辞めさせる方法ご存知ありませんか?」

    「まっっったく、意味が分からないんだけど?!」
    「ですよね_:(´ཀ`」 ∠):」

    素晴らしい合いの手とツッコミに、俺たちの相性の良さを再確認(現実逃避)しつつ俺は更に詳しい経緯を説明した。



    「つまり。蓮兎のバディである蓮水は、料理が壊滅的に下手で!運の悪い事にその事に無自覚で!しかも、その劇物を幼気な星の子に振る舞うテロ行為をしているから、止めさせたいって事だね?
    …諦めて自首させたら?」

    「身も蓋もないな!もう少しマイルドな表現できないのか?!てか、テロじゃねぇよ!善意の行動だ!俺のバディを犯罪星にするなよ!」

    「被害が出てる以上、犯罪だろう?!罪を認めて償わせるのが、バディの役目じゃないのか?!」

    「だから、こうして相談しているんだ!料理さえ作らなければ良い星なんだよ!料理さえ振る舞わなきゃ!」

    「…料理するなって言えばいいじゃん。」
    「…無理。泣きそうな顔で落ち込むんだよ。」

    「「はぁぁぁぁ…」」


    その日は、そんな感じで結局お開きになり、今日も楽しそうに昼の弁当を作っている蓮水を、俺は死んだ魚の様な目で見つめていた。
    (今日は腹痛かな?気絶かな?なんか、胃が既に痛いような気がする。胃薬まだあったかな?)




    「俺の知り合いに、1人心当たりがいる。」

    書庫の閲覧可能エリアでのデート中、レアが突然話し出した。

    「なんの話だ?」
    「この間の飯テロの話」

    「(意味が違うような?)…あぁ、あの話ね。
    ………?!いるのか?!心当たり!?」
    「だから、そう言ってる。てか、書庫では静かにしろよ。周りに迷惑だろ」

    慌てて周りに頭を下げると呆れた目をしているレアの手を引き、書庫にある星月夜の砂漠へ飛び込んだ。

    「仕事中は(俺の)理想的な星の子なのに、何で普段はコンナノなんだ?普段から仕事モードなら、もう少し…」
    「こんなのとは何だ!こんなのとは!いや、それは一先ず置いておく。本当なのか?さっきの話!」

    手を引かれながらボヤいていたレアを引き寄せ、話の続きを促すと「顔が近い!」と、瞬時に耳を赤く染めたレアの手が俺を押し退けようとする。

    「レア!大事なことなんだ!」
    「わかったから落ち着け!説明出来ないだろ!」

    渋々レアを離すと、心当たりのある知り合いの説明をし始めた。

    「俺の知り合いに『ゼラ』っていうヤツがいてさ。名家の出だから舌は確かだよ。問題はあるけど、交渉ごとは得意だと思う。」


    「どういう、ご関係で?」
    「う〜ん。昔馴染みの腐れ縁?」
    「ふ〜ん。馴染みの腐れ縁…ねぇ」

    俺がジト目で、見つめるとレアがクスクス笑い出す。

    「ゼラとは「そういう関係」になったことないよ。だって、ゼラよく『一回粘着すると離れるくらいなら足折ってそばに置いときたい』とかほざくくらいクソ重い上にタラシだからね。ありえないよ」

    「俺が言うのも何だが…よく恋星とそのバディに紹介しようと思ったな?」

    「困ってるんでしょ?なりふり構ってられないくらい死活問題だと思ってさ」

    こんな会話をしても惚れた星を愛おしく感じる自分も大概だなと、どこか人ごとの様に思いながら事実、死活問題な案件解決のため『ゼラ』の紹介を頼むことにしたのだった。


    ーーーー

    長い付き合いのあるレアの珍しい頼みとあって興味を引かれたゼラは、来たことを既に後悔し始めていた。

    「壊滅的な料理下手を傷つけない様に説得して料理を辞めさせる方法ですか…(またやべぇの来たよ)」

    ゼラは、内心舌打ちしながら「さぁ…ねぇ…?」と困った様に首傾げる素振りをみせた。

    「まあ……一応料理なら人並みに作り慣れてはいるので、いいですが……多分無理だと思いますよ。よくいるんです、そういう「才能」を持った人。そういう人たちは、もううちの常連みたいなものなので……それでもよければ」

    人当たりの良さそうな、しかし『面倒』だという雰囲気を醸し出す星の子『ゼラ』に蓮兎は藁にも縋る思いで頼み込んでいた。

    「(被害者さえ減れば問題ない)...お願いします。安心して食事が出来れば、それでいい!見た目はいいんです!見た目は!問題は、味付けだけなんで!」

    「見た目が良いのに何故、味が壊滅的になるんですか?」

    「さ、才能です…か…ね…」

    視線を、そっと逸らす蓮兎を冷ややかな眼差しで見ながら、ゼラは指定されたエリアにて待つ蓮水の元へ向かった。



    「はじめまして、蓮水です。
    蓮兎がお世話になっています。」

    指定されたエリアに到着すると、先に待っていた蓮水がどこかのんびりとした雰囲気を纏わせて声を掛けて来た。

    「はじめまして、蓮水。レアです。
    こちらこそ、よろしくお願いします」

    「はじめまして。ゼラと申します。
    貴方も料理に興味があるとか?是非、今日はランチをご一緒に楽しませて頂けませんか?」

    「はい!自慢じゃないけど、料理は得意なんです!楽しみにしていて下さい♪」


    先ずは試しに食べて見て欲しい。と蓮兎に提案されたゼラは、ランチに招待され、さりげなく料理に向かない事に気付かせるというこの上なく面倒な頼みを早く終わらせようとしていた。(因みに、蓮兎はレアは止めたがゼラに連れられ、仕方なく連れて来た)

    「(作る手順は丁寧で、手際も悪くない。あれで何故、壊滅的な味になるんだ?)蓮水さんは、昔から料理が好きだったのですか?」

    案内されたテーブルに着き、料理を作る様子を見ていたゼラは、手順自体に問題はない様に見える蓮水に声を掛けてみる事にした。

    「昔は、苦手でしたね。俺たちは雀の頃、捨て地で暫く暮らしていたんですが、あの場所は食材が特殊なモノばかりでしょ?少ない食材から食べられる物も限られてくるし、どうすれば美味しく食べられるかなって。色々試していたら、段々楽しくなってきて『美味しい』って喜ぶ顔が見たくて気がついたら料理が好きになっていたんです」

    「素敵なお話ですね」

    「あはは。恥ずかしいなぁ。雨林で役目を授かって食べる物にも困らなくなったけど、昔の癖でつい困っている子とか、頑張っている子に元気になって欲しくてご馳走しちゃうんです。蓮兎には、やめろって言われるけど、お節介って分かっているけどやめられなくて。」

    「蓮水さんは、優しい星の子ですね」

    ゼラが困った様に笑う蓮水に優しく微笑み掛け、穏やかな雰囲気が漂う中。蓮兎はレアを離れた位置に避難させ必死に説得していた。

    「そんなに苦労していたんだね。良い話じゃないか!蓮兎も蓮水の優しい気持ちに応えて、少しくらい不味くても笑顔で食べてあげなよ!バディでしょ?」

    「レア!勘違いしてはいけません!言いたくないですが!食べるものが限られていたから言わなかっただけで!蓮水が頑張っていたから言わなかっただけで!決して美味しくはなかったんです!

    「我慢してでも食べてあげなよ」

    「日々レベルアップする壊滅的な料理スキルに適応するため麻痺・毒耐性まで身につけつつある俺にいいますか?それ?!」

    「この世界にあるの?そんな耐性?」
    「死活問題で、生存本能の開花だ!」

    「訳が分からない」

    苦労話に母性本能(星の子にあるの)を刺激されているレアを正気に戻す為、必死に説得する蓮兎の姿があった。



    「お待たせ!【光のキノコのドリア】が出来たよ。
    付け合わせは、草原の野菜サラダとスープにしてみた。お口に合うといいんだけど♪」

    暫くすると、食欲を唆る香りを漂わせた見た目は美味しそうな料理がテーブルに並んだ。

    「(見た限りは、普通ですね。)美味しそうですね。いただきます」

    本当に料理下手なのかと蓮兎を疑いながら、一口食べたゼラとレアの動きがピタっと止まった。

    「みんなのお口にあったかな?う〜ん?ちょっと味が濃すぎた?張り切りすぎたかな?蓮兎?聞いてる?」
    ゼラとレアが肩を震わせ下を向いたまま動かない中、1人パクパクと無心でスプーンを動かし(一度止まると食べ出すのに気合いがいる為)食べ続ける蓮兎に蓮水が声をかける。

    「イツモドオリ、オイシイヨ?チョット、アジガコイケド、タベラレルヨ。イケル、イケル!」

    「ほんとう!?良かった〜、たくさん食べてね♪ゼラくんとレアくんは、どうかな?もしも〜し?」

    「蓮水ノ リョウリノオイシサニ カンドウシテ イルンジャナイカナ〜」

    「えっ?そう?嬉しいなぁ俺の料理を食べるとみんな、天空で光が手招きしてるって感動してくれるから作り甲斐があるよ♪」

    嬉しそうに目を細めて笑う蓮水を、死んだ魚のような暖かい眼差しで見つめ、今だに気絶している2人をどうやって回収するか頭を悩ませる蓮兎だった。






    「アレは無理です!諦めなさい!原罪に行かずに、意識が天空を飛ぶなんて経験初めてですよ?!」

    「蓮兎、ごめん。俺が間違ってた。アレは、美味しいとか不味いとかのレベルじゃない。劇物なんて、生優しいモノじゃない!何なのアレは?!」

    「…蓮水の愛情たっぷりの料理です…」

    「「愛情が重すぎる!」」

    意識が戻ったものの当然食べることが出来ない2人をおばあちゃんのいる食卓まで連れてくると、口直しにパンを食べながら3人は話だした。
    (おばあちゃんのパンは、世界一優しい味だよな)
    因みに、蓮水には感動した2人を落ち着かせてくるからと適当に言いくるめてある。

    「気絶した2人の代わりに、3人分完食して危機を救った俺に感謝の言葉は無いんですか?!」

    「君は食べ慣れているから良いでしょう!?まして、誘ったのは君だ!」

    「…蓮兎。耐性があるなら、死なないよ。俺にあんな劇物食べさせるなんて…愛してくれていないの?」

    「愛してるから来てはいけないと止めたでしょう?!愛しているからレアの分まで死ぬかもしれない覚悟で代わりに食べたんです!」

    「蓮兎」
    「レア」
    見つめ合う2人を冷めた目で見ながら、ゼラの冷たい声が響く。

    「どうでも良い茶番は、終わらせて下さい。気分が更に悪くなる」

    「恋星同士の良い空間を邪魔しないで下さいませんか?良いところだったのに…「帰ります」待って下さい、ゼラ!俺が悪かったです!見捨てないで下さい!」

    「ゼラ?蓮兎も反省しているみたいだし、許してあげなよ」

    「「(何で、レアが上から目線(なんでしょう)なんだ?!)」」


    「それで何か良い作戦はありませんか?」
    「諦めなさ『却下!』…い。チッ!」

    「あ!誰かが代わりに作れば良いんじゃない?」

    蓮兎とゼラが睨み合う中、レアが名案だと声を上げた。

    「俺も交代で作る事があるけど、蓮水がやりたがるから断り難い。」
    「ゼラが作れば良いんだよ!」

    「何故、私なんですか?!」
    「だってゼラ、一度承諾してるでしょ?止めるの。一度、承諾したなら守らないとね♪」
    「理不尽です!!」

    馴染みの腐れ縁だという2人の言い合いを聴きながら、蓮兎は自分以外の誰かが頑張ってくれるなら何でも良いと、問題から目を背けたい気持ちになっていた。

    結局その後、レアに言いくるめられたゼラが「貴方の料理に感動したので、自分も料理を極めたい。良ければ味を見て欲しいから、自分に作らせて欲しい。」と蓮水を説得し、一時的に蓮水の料理頻度は減った。

    「ゼラ!俺たち、2人の時の食事は作ってくれないんですか?!」

    「耐性があるなら死にはしないでしょう。私たちの平和の為に犠牲になりなさい。楽しそうに作る蓮水も喜びます。」

    「俺の平和も守ってください!」
    「お断りします」
    「うわぁぁ.....。゚(゚´Д`゚)゚。」

    「俺、何でこんなの好きになったんだろ?」
    「レアまで、ヒドイです…。゚(゚´Д`゚)゚。」


    優しい風が吹く雨林の晴れ間エリアでの1コマ。
    4人の星の子の関係は、ここから始まります。
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