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    囲(かこ)

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    20240225開催ジェイルクオンリー展示作品その3

    雪と物好き「俺、雪って好きだなあ」

    窓辺の椅子に腰掛けた貴方は何故か楽しげな顔で外を眺めていた。暖炉から遠いそこは冷えるだろうに、ほらご覧なさい。もう頬が赤らんでいるではないですか。
    わざと聞こえるように溜め息をつき、先程淹れたばかりの紅茶を目の前に差し出すと『お、サンキュな』なんて当たり前のように貴方はカップとソーサーを受け取るから、つい嫌味が口をついて出てしまった。

    「雪が好きだなんて物好きもいたものですね。燃料費の高騰、交通網の混乱、物流の遅延、物損、転倒、屋根からの落下……除雪作業に軍まで駆り出されるんですから税金と労力の無駄遣いですよ」
    「おまえって本当そーゆーやつな」
    「それはどうも」

    そういうやつですから。
    呆れたような物言いをしたくせに、振り向いた貴方の口元は笑みを携えていた。今しがた貴方が紅茶に落とした角砂糖のような甘さをその口元に潜めている。じわりと溶けて沁み込むような。

    「大抵の大人は雪が嫌いだと思いますよ。嫌いというより面倒になる、か」
    「はいはい俺はまだまだガキですよー」

    やっと嫌味が通じたらしい。
    私に続いて暖炉の前のソファーに移動し、ようやく貴方はカップに口をつけた。ふ、と湯気がたなびく。

    「蓼食う虫も好きずきって言葉知ってる?」
    「よくそんなことわざ知ってましたね」
    「まあね」

    えへん。
    途端に得意げになった横顔に満足して栞を挟んでいたページを捲る。十七行目、と紙面を指で辿る。目的の行に達し読み始めようとした時。

    「ジェイドって雪に似てる」

    そんなことを貴方は言う。

    冷たくて厄介で税金の無駄遣いで大抵の人間に嫌われていると言いたいんですかと流すことはできなかった。

    角砂糖はもうすっかり溶けてこの胸に沁み込んでしまっていたから。
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    Replies from the creator

    囲(かこ)

    DONEガイルクとジェイルクが美味しいよ~というお話。
    ガイがカースロットを受けて操られていて、なおかつ「ルークを殺したいほど憎んでる」ことが発覚したけど詳しい事情は分からない、という状態でのお話です。はい。そんな時空存在しません。都合の良い世界線を勝手に作り上げました。やったね!
    カーテンだけで仕切られてる宿屋のベッド、なんかエッ(文章はここで途切れている)
    牽制仕切りのカーテンの合間を縫って誰かが入ってきた気配がする。続けてギシ、とベッドが軋む音がしてルークは目を開いた。寝ぼけまなこで視線を巡らせれば、そこにはベッドに片膝を突いてこちらを見下ろすガイの姿があった。
    「ガイ……?どした、?」
    眠たい目をこすりながら起き上がろうとするが、その前にガイの手が伸びてきて肩を押さえつけられてしまった。ルークの身体はまたシーツの上に逆戻り、馬乗りになった親友の姿が徐々に近付いてくる。暗くてよく見えなかった彼の瞳は間近で見るとどこか虚ろで、そこでようやくルークは今の状況に危機感を覚えた。
    (まさか、操られて……ッ?!)
    「ガイッ?」
    もう一度、しっかりと目を見て名前を呼ぶ。けれど親友からの返答は無く、頸動脈をなぞり上げるその指先がルークの不安を一気に煽った。
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