3.百回目の恋 魔法使いは何にでも恋をする。それは長い年月を孤独に生きる者たちには必要な事なのかもしれない。俺も、例外では無いと思う。もう六百年も生きてきたら何も分からねえんだけど。
「ネロ、身体の具合はどうですか」
「ああ、お陰様で何とか」
厄災の到来後、役目を終えたはずの賢者さんが何故か戻ってきた。再び賢者としての役目を担ったようだが、とにかく今は現状の把握が最優先だと日々忙しく走り回っているらしい。
俺は流石に腹に穴があいて死にかけたので、しばらくは安静にと部屋に軟禁されている状態だ。
賢者さんは毎日、俺の様子を見に来てくれる。本当に真面目だなと思う反面、申し訳なさでため息が零れてしまう。
「今朝は久しぶりにヒースがおじやを作ってくれたんですよ」
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