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    6時半のラッコ

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    6時半のラッコ

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    クトゥルフ神話TRPG
    「探偵は七夕に走る」
    (こんなシナリオは無いですw)

    お願いごとがある人
    ・稲荷田狐
    ・白石白波

    #TRPG
    #TRPG小説

    探偵は七夕に走る 来ると思っていた。そんな気はしていた。

    「稲荷田さん、指名依頼です。依頼人の方が応接室でお待ちになっています」
     同僚からの連絡で探偵事務所の応接室に向かった狐は、依頼人の顔を見てすぐさま気が抜けていくのがわかった。
    「やぁ、狐先生。依頼だよ」
     応接室のソファに座っていたのは、この暑いのにスーツ姿の白波だった。相変わらず飄々とした笑みを浮かべ、狐に向かって気さくに手を振っている。
     狐は扉を閉め、タブレット端末を机に置き、白波の向かいのソファの横に立つ。白波にわかるように小さく溜め息をついた。
    「…一応挨拶はする決まりだから。今回、白石様を担当いたします、調査員の稲荷田狐です」
    「知ってるとも、先生。缶蹴りは勝ち知らずの名探偵さんだ。そう畏まるとしっかりして見えるね」
    「…ご依頼との事ですが、具体的なお話をお聞かせください」
     色々と余計だよ、と言い返したい気持ちをぐっと堪え、狐はソファに背筋を伸ばして座った。タブレットで新しく依頼人のデータを作成し始める。
     白石白波。…住所、連絡先?知らない、後で聞こう。で、今日が…、何日だ?
    「今日は七夕だね」
    「あぁ、7月7日」
    「七夕飾りを作って欲しいんだよ」
    「あぁ、七夕飾り…」
     狐が画面から顔を上げた。
    「七夕飾りってコアラが食べてるアレ?」
    「残念、コアラはユーカリ。笹はパンダ」
     そもそもパンダは笹を食べるのであって、七夕飾りは食べないよと、白波がふふっと笑う。狐が唇を尖らせた。
     …そんなに笑わなくても良いのに。
     依頼内容に七夕飾りの作成と入力し、その文字を読んで迷った。依頼といえば依頼なのだが、探偵に頼むような内容ではない。
     狐の人差し指が宙を叩く。
    「…それを依頼しに来たの?」
    「そう。今夜いつもの公園で天の川を見るんだよ。七夕飾りが無いと子ども達も盛り上がらないだろう?」
    「それはそうだけど…」
     この案件を事務所として引き受けられるかというと、難しいだろうと狐は考えた。探偵業とは言い難い。上に相談したとしても、良い返事を想像できなかった。
     …どうしたものか。
     ぐっとソファの背もたれに寄りかかり、両手を頭の後ろで組む。しぱらくタブレットの画面を見てから、窓の外を見る。それから狐は壁の時計を見た。
    「ねぇ、白波さん。今日の18:00から暇?」
    「予定は入れてないよ」
    「そっか」
     白波の返事に狐が組んでいた手を解く。背もたれから体を起こし背筋を伸ばした。真っ直ぐに白波の緑色の目を見る。
    「…今回のご依頼の件なのですが、こちらの探偵事務所ではお受けするのが難しいかと思われます」
     しかし、と狐が言葉を続ける。
    「稲荷田狐個人として、今回のご依頼を引き受けたいと考えております。報酬は線香花火で僕ともう一度勝負する事。…いかがでしょうか?」
     狐がニタァ…、と笑った。
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    6時半のラッコ

    SPOILERTRPG
    「レコードユアレポート」
    (ムーキセキ 著)
    TRPGの探索者ならどなたでも遊べるシナリオです

    記された名前
    ・稲荷田狐
    レコードユアレポート■タイプライターからの挨拶
    |ではあらためて。ワタシは記録とお喋りが好きなしがないタイプライターだが、しばしよろしくお願いするよ。|
    |あなたのことを記録させて欲しい。|

    狐「僕も似たようなモノだけどね。よろしくお願いしちゃおうかな」


    ■あなたの『名前』
    |最初の質問だ。|
    |まずはあなたの『名前』を教えてもらえるだろうか?|

    狐「稲荷田狐。変わった名前でしょう?同じ名前の方にお会いした事はまだ無いね」


    ■あなたの『世界』について
    |ここには様々な世界からやってくるようでね。これを記録しておかないと。|
    |あなたの言葉で『あなたの住む世界』がどんな場所なのか説明してくれるかい?|

    狐「ごく普通の生活の中に、非日常が舞い込んでくる世界だね。魔法であったり、怪物であったりと、一般常識では理解されないようなモノに遭遇するよ。…そうだなぁ、僕が一番最初に事件に巻き込まれた時は、自殺した方を運ぶ電車に詰め込まれたっけ。そういえばあの時の言葉って、僕にとって重要な約束に繋がるものになってるね…」
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