黒髪の女旧校舎を後に、A弥たちと離れた私は、どこかに寄り道するでもなく帰路についていた。
やれ噂だの都市伝説だのを夢中になって語り合っている間に、気が付いたら夕日はもうすぐ沈もうとしていた。
こうしてまた、いつもの道をいつものように歩いているとちょうど曲がり角に差し掛かったところで、4~5歳くらいだろうか?一人の男の子に話しかけられた。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
いつも通りのつもりであったが、子どもの目はどうも誤魔化せないようで、それが初対面であっても本心を見透かされたような気持ちになった。
そう、今日A弥が持って来たネタはいつもにまして何倍も不気味なものだった。
故に、少しでも早く内容を忘れよう忘れようと念じつつ、恐怖から逃れようと平常心を意識していた私であったが、目の前の少年にはバレバレであったようだ。
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