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    D_nedaisuki

    @D_nedaisuki

    終焉ノ栞とD音が大好きです

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    D_nedaisuki

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    ホラーチックな文章が書きたかったです。
    思い付きで一発書きしたので誤字脱字あるかも......

    #終焉ノ栞

    黒髪の女旧校舎を後に、A弥たちと離れた私は、どこかに寄り道するでもなく帰路についていた。
    やれ噂だの都市伝説だのを夢中になって語り合っている間に、気が付いたら夕日はもうすぐ沈もうとしていた。
    こうしてまた、いつもの道をいつものように歩いているとちょうど曲がり角に差し掛かったところで、4~5歳くらいだろうか?一人の男の子に話しかけられた。

    「お姉ちゃん、どうしたの?」

    いつも通りのつもりであったが、子どもの目はどうも誤魔化せないようで、それが初対面であっても本心を見透かされたような気持ちになった。
    そう、今日A弥が持って来たネタはいつもにまして何倍も不気味なものだった。
    故に、少しでも早く内容を忘れよう忘れようと念じつつ、恐怖から逃れようと平常心を意識していた私であったが、目の前の少年にはバレバレであったようだ。

    「ううん、心配してくれてありがとう」

    小さな探偵が気にかけてくれた嬉しさと同時になんだか恥ずかしさが込み上げてくるのを感じながら、私はそう微笑みかけて振り返らずに少しだけ急ぎ足で家に向かった。



    翌日、ちょっとからかわれちゃうかもな、と思いつつもA弥にこのことを話すと、彼は神妙な顔つきで言葉を発した。

    「そういえば、最近『黒髪の女』って噂があるんだけど......」

    『黒髪の女』の内容はこうだ。
    その名の通り特徴的な黒い髪をした女性が、黄昏時に一人の高校生を狙って後をつけるらしい。彼女は特に他の何かをするわけでもないが、気が付いたらいつの間にか現れ、いつの間にか消えているような、そんな怪奇現象らしい。

    「ちょ、ちょっとA弥!今はそういう話はしないでよね!」

    「ははっ、こういう話となると止まらないんだから。しょうがないなあ、A弥は」

    「いや、僕にはどうもこの話が無関係だとは思えなくてね......」

    「い、いいから!他の楽しい話をしようってば」

    自分から話を持ちかけたのにも関わらず、私には真剣にA弥が続きを語るのがどうにも怖く、耐えられなかった。
    申し訳ないとは思っているが、私は人よりも怖がりだという自覚もあるし、私が嫌がるとそれ以上の話をするのを止めてくれるのも彼らの良いところだ。
    そんなワガママに付き合ってくれていることに感謝しながら、今日も噂話に花を咲かせるのであった。



    私に関する根も葉もない噂話ばかりを吹聴するA弥を叱るところから始まった関係だが、オカルト研究会という場と空間は、やっぱり居心地が良いしなんだかんだで心を休ませることができる。
    仮面を外したニセモノでない、本当の私と彼らが向き合ってくれているおかげというのも大きい。
    昨日のようにちょっぴり怯えてしまうことはあるものの、オカルトで盛り上がるのは悪くない。
    そういった感情を胸に、いつもの帰り道をいつものように歩いていくと、ちょうど曲がり角に差し掛かったところで昨日と同じ少年に声をかけられた。

    「お姉ちゃん、なにしてるの?」

    前回とはうってかわり、今日は暖かな気持ちでいるのだが、男の子は不思議そうな声色で言った。
    やはりこんな小さな子どもだ。
    前日こそ心の中を丸裸にされたような気にもなったが、今は不安なことなど少しもないので、笑顔でこう返した。

    「お姉ちゃんはね、今学校の帰りなの」

    そのままこの場所を後にしようとしたところ、少年は続けた。

    「そうなんだ!忍者みたいだね!」

    ......?

    その言葉に首をかしげつつ、小さな子どもならそういう言い回しをするのも不自然ではないのかな、と思いはしたが、彼の目線の先は微妙に私ではなく、その少し後ろに向かっていることに気が付ついた。悪寒を感じた私は咄嗟にその場所に目を向ける。

    すると、特徴的な黒い髪をした女性が確かに物陰にいた。長い黒髪が風に靡かせられながら、目元までは確認できないものの、私が目線を向けた瞬間に彼女は大きく顔を引きつらせて笑ったのが分かった。

    「ひっ......!」

    怖くなった私は少年のことなどおいてけぼりで家に帰ってしまったのであった。



    次の日、いつもの教室でA弥たちに一連の事柄を説明する。

    「......やっぱり、近頃は不気味な噂ばかり聞くから少しは警戒した方が良いかもね」

    「A弥が私を心配してくれるなんて、明日は雪でも降るのかしら」

    「嫌だなあ、B子。僕だって人を心配することはあるよ」

    「そうだよ、これでいてA弥は昔から心配性なんだから。しょうがないなあ」

    「ちょっとC太、それは今関係無いだろ......!」

    ああ、やっぱり私の居場所はここなんだな、と、不安な気持ちも綺麗に吹き飛ばされた私は、今日もまたそう思わされるのであった。



    それからは特に何事もなく時は過ぎ、例の事件も私の勘違いということで茶化され始めた今日この頃、いつものように普段使いのされていない教室で、A弥たちと他愛もない話をしていたところ......

    背後から物音がした。

    ──ガタッ。

    びっくりして振り替えると、そこには見覚えのある女生徒が身を縮こまらせて立っていた。

    「......あれ? B子ちゃんの......お客さんかな?」

    「──!? あれ......あなた......?」

    私はその生徒の顔を見て安堵した。
    彼女は以前、裏門の辺りを私と一緒に掃除した子だ。

    「あ、ご......ごめんなさい、人気の無い旧校舎に行くところが見えたから......つい」

    私は軽くため息をついてから答える。

    「......そっか、ごめんね、心配してくれたんだよね? ありがと」

    「......知り合い?」

    A弥がこちらをジトッと目で見ながら無愛想に言う。

    「......うーんそうだね。あ、でもまだ名前聞いてなかったや。私はB子、あなた、名前はなんて言うの?」

    「──D音......」

    彼女は答える。
    そのときD音が見せた引きつったような笑顔は、確かにどこかで見たことがあるような気がした。


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