(お題)私の命はおいしいですか?夜が深い。街灯も家の灯りも何もない。
ざらざらとした木々のひしめき、石に跳ね返る水の音。今夜は雲が厚く星の光も届かない。
自然に包まれて仕舞えば何も見えない。昆虫も爬虫類も動物もそこかしこで闊歩する。小さな傷が化膿する。バランスの崩れた食事で不調に陥る。
人間はーーー脆い。
現代人がぬくぬくと作り上げた便利な物は何もない。体を鍛えている人間が全てサバイバルに向いている訳もない。それでも誰も何も言わないのは、単に「言えない」だけだろうか。
好きに活動して良い、そう伝えた人達を見回り。うとうとと疲労感が体を包むけれど……もうずっと、深い眠りは訪れていない。
寝床は洞穴。ゴツゴツした岩肌に毛皮や木の皮、干し草で凌ぐにも限度がある。
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