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    アロマきかく

    @armk3

    普段絵とか描かないのに極稀に描くから常にリハビリ状態
    最近のトレンド:プロムンというかろぼとみというかろぼとみ

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    アロマきかく

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    若干別管寄りな図書館ダフ。
    血の風呂の本の中で眠っているときに見た夢のようななにか。
    寄る辺をなくして生きることを完全に諦めてる。
    この直後ローランが土足で踏み込んでくると思う。

    #ろぼとみ他支部職員

     ゆっくりと目を開ける。
     目に入ったのは赤。赤すぎて現実味がない。
     いや、果たしてこの色は赤だったろうか。答えは出ない。

     僅かな身動ぎとともに、眼前に広がる“赤”がゆらりと波打つ。
     視界の変化に伴い、ようやく周囲を見回すという行為を思い出す。
     そして、己が置かれている状況の把握。

     赤い液体が満ちた、白いバスタブ。
     それにもたれかかるように座り込んでいた。
     左の手首はバスタブに満ちた赤い液体に浸かっている。
     ゆっくりと左手を引き上げてみる。
     バスタブの液体が赤いのは自らの手首によるものではないようだった。



     ふと脳裏に浮かぶ。
     “ついさっき”見た光景。
     光あふれる空間に手を伸ばす。
     その手は何に届くこともなく、虚しく空を切る。
     光に包まれて殆ど見えない笑顔が。
     悲しみを孕んだ笑顔が。
     手から零れて散っていく。

     ああ、この手に残ったのは絶望だけだった。
     ならばバスタブの中に広がるのは絶望の色ということだろうか。

     もう自分には何も残っていない。
     自覚してしまう。
     生きるための目的は失われてしまった。
     虚無と絶望を抱えて、この先何がある。

     失われたものはあまりにも大きく。
     長く永い歩みを止めてしまうには充分過ぎて。
     積もり積もった思い出も、今はただ、悲しい。



    ――生きていたくない

     このまま苦痛を抱え込んで生きるよりは。
     ああ、心の底からこんなことを望むのは初めてかもしれない。

    ――死んでしまいたい

     果たして、今の自分に死は許されているのだろうか。
     また目を開いて死ねない絶望に苛まれやしないだろうか。



    「……エックス……」
     半ば無意識に小さく呟く。
     指の間をすり抜けていく、大切な友の名。

     どうして。
     只々その4文字が頭の中を支配する。



     バスタブには見覚えがあった。
     『血の風呂』。
     散々“作業”してきた対象だ。

     どうか引きずり込んでくれ。
     赤い赤い絶望の底へと沈めてくれ。
     そして願わくば、二度と目が覚めぬよう。
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    アロマきかく

    MOURNINGコービン君から見た緑の話。
    と見せかけて8割位ワシから見た緑の話。未完。
    書き始めたらえらい量になり力尽きて改めて緑視点でさらっと書き直したのが先のアレ。
    コービン君視点、というかワシ視点なのでどうしても逆行時計がなぁ。
    そして33あたりから詰まって放置している。書こうにもまた見直さないといかんし。

    緑の死体の横で回想してるうちに緑の死体と語らうようになって精神汚染判定です。
     管理人の様子がおかしくなってから、もう四日が経つ。



     おかしくなったというよりは……”人格が変わった”。その表現が一番相応しい。むしろそのまま当てはまる。
     Xから、Aへと。

    「記憶貯蔵庫が更新されたらまずい……それまでになんとかしないと……」
     思い詰めた様子でダフネが呟く。続くだろう言葉はおおよそ察しがついていたが、念のため聞いてみる。
    「記憶貯蔵庫の更新をまたぐと、取り返しがつかないんですか?」
    「……多分」
    「多分、とは」
    「似た状況は何回かあった。ただし今回のような人格同居じゃなしに、普段はXが表に出ていてAは眠っている状態に近い……っつってた、管理人は。相変わらず夢は覚えてないし、記憶同期の際に呼び起こされるAの記憶は、Aが勝手に喋ってるのを傍観しているような感じだったらしい」
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