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    アロマきかく

    @armk3

    普段絵とか描かないのに極稀に描くから常にリハビリ状態
    最近のトレンド:プロムンというかろぼとみというかろぼとみ

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    アロマきかく

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    とある死んだ可能性のリファイン。
    というかなんというか。あっちは管理人との出逢いメインで、こっちはダフネ抉りメインというか。
    飛び先が無くなってしまったら?の一つの可能性というか。
    だいたいそんな感じ。

    #ろぼとみ他支部職員

    望まざる希望 彼の背後には光の柱。
     柔らかい微笑みは胸の内を隠すかのようで。白衣を翻し、一歩踏み出す。

     僅かに踏み留まって、後ろめたさを纏い控えめに振り向く。笑顔に哀しみが混ざる。



    ――約束、破ってしまって……ごめんなさい――



     振り向いた顔を戻し、暫し俯く。
     その背には後悔と未練を背負ったまま。
     顔を上げる。また、一歩。

     輪郭がぼやける。光の柱が輝きを増す。ぼやけた先から輪郭が光に溶ける。溶けた光が粒子となって舞う。
     温かい光。哀しい光。
     その姿が霞んで見えるのは眩しさによるものだろうか。既に半ば光に溶けてしまっているせいだろうか。
     それとも己の目に滲む涙からだろうか。

     あんたとの約束が果たせなくなったら、あんたが居なくなっちまったら、
     俺は、……俺は、何のために生きてきたってんだ!ここまで頑張ってきた意味は!!



     今一度、振り返る。顔はもう半分ほど光に溶け、直視することも難しい。温かく哀しい光が、宥めるような微笑みを見せる。

    ――何も、消えるわけじゃありません。世界に散らばるだけです。だから……ずっと、側に――

     その声も既に耳では捉えられない。頭の中に直接響く。
     全身で感じる全ての事実が、目の前の光を止められないのだと物語る。

     わかってんだろ、俺が望むのはそんなんじゃないって!

    ――僕は自分の我儘のために、本来の出番を無視して舞台に立ち続けてしまったんです。こうなることがわかっても、せめてそれまでは……皆さんと、ダフネさんと一緒に居たかった。いえ、こうなることがわかったからこそ――

     響く声が弱まっていく。目の前に居るはずなのに、果てしなく遠く感じる。
     せめて触れたい。縋り付きたい。どんなに強く想っても、諦めたかのように身体が動いてくれない。
     ただ目の前の光を見ることしか出来ない。眩しく、温かく、哀しいこの光を。

     光の眩しさのなかにあってなおその存在を主張する、金の瞳が潤んだ。



    ――アイン。この名前を、どうか覚えておいてください――



     違う、違うだろ。……あんたは――!



     一筋の輝きが頬を伝う。
     それは殆ど光に溶けゆく金の瞳からだったのか、
     光の中に執着を残した翡翠の瞳からだったのか。

     かつてAと呼ばれた存在は無数の光の粒子となり、光の柱に乗って世界へと散りばめられる。
     その光は、人々に希望と可能性を齎す種。
     その光は、人々に温かさと穏やかさを齎す灯火。

     光の中で絶望する男がひとり。
     影の中に復讐を隠した存在が、ひとつ。



     ただ崩折れるしか無かった。
     ただ見送るしか無かった。

     胸の中に生まれた温かさは、崩れ去った情熱に火を灯すこと叶わず
     残された希望は、遥かに重い絶望の前になすすべもなく砕けた。



     虚無を抱いたまま壁にもたれかかる。
     外に出るということも忘れ、焦点の合わない眼が過去を映し出す。

    『僕たち、どこかでお会いしたことありませんでした?』

     思えば、既にあの時点で何かが違っていたのかもしれない。それでいて、あんたはあいつに呆れるほどよく似ていた。
     似すぎていて、完全にあいつと重ねていた時期もあった。あいつと話しているつもりになり、うっかり零した失言もあった。

    『ありがとな。踏み切ってくれて。……管理人、あんたで良かった』

     嘗てセフィラと向き合おうとしてくれたXは何人も居た。しかしおそらくはオリーブの件もあるのだろう、初見の印象を引きずってマルクトを恐れ、今までのXたちはマルクトの抑制を後回しにしてしまっていた。
     今後のためにもマルクトコア抑制時の情報を仕入れておきたい。その願い虚しく、他のセフィラの抑制中に死んだ。マルクトの抑制に尻込みしたXに見切りをつけ、今の今まで期待していた点を捨てもした。
     俺が付き合ってきた数々のXたちのなかで、あんただけが、真っ先にマルクトと向き合おうとする決意を持ってくれたんだ。……あんたで、良かった。

     期待は際限なく膨らみ続けた。その期待が、あんたをあんたとして認識させてくれた。自分の中で無視できないほどに、あんたの存在が大切になっていた。
     親友の身代わりとしてのXではない、あんたと約束をした。

    『辿り着きましょうね、休暇まで』

     約束を、したんだ。
     休暇で外に出られたら、森林浴に連れてってやるって。

     約束……しただろうがよ……



     ずっと飲まず食わずで何日経ったろう。このまま干からびてしまっても、まぁいいかと思っていた。
     ふと、思った。まだやったことのない死に方があったじゃないか。
     今までは、死ねば新たな管理人Xが居た。だが全てを成し遂げ、Aが失われてしまった今。もう新たな管理人Xが生まれることはないだろう。
     点を飛ぶのかすらわからない。あるいは”何もない場所”に投げ出されるかもしれない。戻れる保証なんて無い。
     それでいい。

     もう、生きる理由もないんだ。



     ひっくり返ったL社内の構造を頭の中で組み立て直そうとしたが、飲まず食わずだった頭はまるで回らない。仕方なく記憶を頼りに身体を引きずる。
     軋む身体に鞭打って、何とか近場にある抽出部門まで戻ることができた。
     全てが始まった場所。特に感慨は無い。メインルームを通り過ぎ、社食スペースへと。
     てっきり散乱しているものかと思ったが、不思議なことにあらゆるものがいつも通りのまま。
     そういえばここまで来る道中もそうだ。歩くのに必死で全く頭が回っていなかったらしい。自分は、”床”を歩いて来たことをようやく思い出す。
     L社内の全ては、逆さのままだった。重力を含めた、全てが。

     厨房へ入り、恐る恐る蛇口を捻ってみる。理屈はまったくわからないが、問題なく水は出た。側に伏せてあったコップに汲み、唇の先をつけるように一口。しばらく水分を摂っていなかったとき、急に一気に飲んでしまうとショック症状が起こりかねない。裏路地で暮らしていたときから身にしみている。
     少しずつ少しずつ、時間をかけてコップ一杯の水を飲み終える。久々に感じる、冷えたものが全身へ染み渡る感覚。
     生きている実感。そんなものは求めていないのに、何故か身体は喜んでいると感じた。

     ようやく人心地つく。脳が動き始める。
     人の気配が無い。オフィサーも、管理職も。
     異変を感じ、管理人のところへ急ぐ際は皆居たはずだ。いつ居なくなった?管理人が光となり、その場で失意のまま呆けているうちに、か?管理人が光になる間、誰か他に居たか?
     動きはじめの頭には荷が重い疑問ばかりだった。

     違う。ここに来たのは難しいことを考えるためではない。
     棚に目をやる。茶葉の並びは変わっていない。あの時と、同じ。
     自然と手が動く。最早見なくても何がどこにあるのかわかる。
     何度やらされたことか。

     アッサムをベースに、ダージリンを少々。濃い目で淹れる。
     蜂蜜を一匙、そしてミルク。

     甘いものは貴重品だという感覚はついぞ抜けることはなく。
     贅沢イコール甘いもの、という固定観念もあったのだろう。
     ストレートでも良かったのだが、やはり甘さを求めてしまった。
     あるいは今の飢えた身体と脳が、糖分を欲しているのだろうか。

     最後の晩餐ならぬ、最後の一服。
     ブレンドは即興。しかし存外いい感じに仕上がった。
     ミルクティーの柔らかい温かさが、疲れた身体を解す。

     紅茶の味にばかり敏感な舌は相変わらずなようで。
     誰のせいだろうな、まったく。

     自嘲気味に、嗤った。



    ――やはり、人の気配がしない。
     長過ぎるL社暮らしで鈍ったとはいえ、そこいらの裏路地暮らしよりは余程気配に対して敏感だと自負している。
     見慣れた廊下が静寂に包まれている。その様子に、僅かな恐怖を感じた。一体何が起きたのだろう。
     原因がわかったところで、対策できるかといえば……無理だろうな。ならば考えるのは止そう。
     ただ目的地を目指すだけだ。今なら行けるはず。
     屋上へ。

     設計部門の扉をくぐる。一瞬、僅かな目眩。TT2プロトコル作動時にも似た感覚。この空間だけ隔離されている?
     管理人が言うには、1日毎に風景が変わっていたらしい。色々と特殊な構造になっているのだろう。詳しいことは知らなくてもいい。知る必要はない。



     光が、消えていた。



     もう光の種とやらは撒き終えたのだろうか。
     それにしては違和感が酷い。部屋が荒れているようにも感じられる。あのときは管理人に夢中でよく見ていなかったから、どれだけの変化があったのかはわからない。
     それに……重くのしかかるような不安感。具体的に何、とは言えない。ただ漠然とした不安が襲う。
     外的不安に釣られて、湧き上がってくる自身の感情。
     もう果たせない約束。

     裏切られた。

     管理人に対して、こんな感情を抱きたくはなかった。
     認めたくない、最悪の事実。
     受け入れるしか無い。目の前で起きたことなのだから。
     もう手の届かない、過去になってしまったことなのだから。

     目的の場所はすぐ見つかった。非常階段。本来地下深くにあったL社にはとんと縁がなかったもの。
     開くかどうかは賭けだったが、最悪『黄昏』を叩きつければなんとかなるだろう、と無茶苦茶な予防線を張りつつ、そっとノブに手をかけた。

     思った以上にあっさりと開いた。と思いきや外からの風圧でやたらと重たい扉を、体重を乗せて押し開けた。
     風が吹き荒れ、髪とコートを乱雑に靡かせる。
     そこには、想像とはまるで異なった光景が広がっていた。

    ――なんだ、これは。



     空にはずっしりと黒雲が立ち込め、陽の光など微塵も無い。
     空気が重苦しい。コア抑制のときにも似た、心の底にずんともたれかかるような感覚。何かが引っかかるような、すっきりしない感情。
     無造作に吹き荒れる風が掻き乱すのは髪やコートだけではない。心の奥の黒い感情を掻き混ぜて捲き上げる。
     感情に潰されそうになる。煽られた気持ちに流されたくなる。
     潰れてもいいか。
     どうせそのためにここに来たのだ。

     こんなに淀んだ空気、あいつには与えちゃいけない。
     日差しの無い世界なんて、あいつには見せちゃいけない。
     これは俺だけが胸の内に秘めておこう。
     あいつの望んだものは、この世界には無かった。



     光の種とやらは屋上から撒かれる仕組みになっていたようで、そのための施設であろう機器の数々と、メンテナンススペースが確保してあった。
     もうきっと使われることはない。
     管理人は、居ないのだから。

     屋上に”部外者”が立ち入ることなど想定されていなかったのだろう。屋上の縁にはフェンスなんてものは無く、ただ一段ほど高くなっているだけの簡素な構造。
     縁に立ち、風に煽られる。心を掻き乱す、黒い風。



     最期は、初めての転落死で締めるか。

     敢えて下は見ない。

     思い切り踏み切った。目を閉じる。ただ風を切る感覚だけ。

     どうなるのが一番楽だろう。やはり”何もない場所”に放り出されるのが楽だろうか。今となっては自分が無くなってしまうことへの恐怖も無い。事実上の安楽死。



    ……もう、疲れた。



     …………

     ……



     いつ叩きつけられるのだろう。
     いくらなんでも長すぎる。
     風を切る感覚はいつの間にか失われ、無重力めいた浮遊感も無い。

     もどかしくなり、目を開く。

     自室の天井が見えた。



     夢か、それとも飛んだのか。夢にしては随分と長かったな。なら飛んだか?
     いまだハッキリとしない頭。手探りで端末の在処を探る。枕元に立てかけてあった。
     ひとまず現状を把握しておかないと。自室から始まるパターンは多少心の余裕ができるからありがたい。いや、こうなっている時点で別段ありがたくもないか。また新しい環境に馴染まないといけないのには変わりない。

     端末を起動する。このまっさらな状態は支給された直後か。日付は……

    「……嘘だろ」

     眠気が一発で吹き飛ぶ。
     端末が示す日付は、”さっきまで”の点の、初日だった。



     どういうことだ?むしろ今が夢なのか?有り得ない、こんなこと。今まで”戻った”ことなんてない。
     落ち着け。たまたま今まで戻ってこなかっただけ……なわけないな。何回飛んでも直前の点より先の日付だった。回数なんざ数えちゃいないが、いつだってそうだった。今回がたまたまとは考えづらい。

     思い出せ。”前”はどうなっていた?
     全てを成し遂げた。全てを成し遂げたから、管理人が……光になった。全てを、成し遂げたから。
     成し遂げさせては駄目なのか?それも駄目だ。成し遂げられないと判断された時点でその点は強制終了される。あいつの時に経験済みだろう。

     ともかく、今だ。本当に”さっきまで”の点なのか?本当に今日が初日なのか?
     時計を見る。まだ間に合うな。
     手早く支度を済ませ、管理人研修の様子を見に行くことにした。



    「ご唱和ください、僕の名を」

     声の調子も、ため具合も、無駄口も、全部同じ。正確かどうかと言われると少々不安だが、記憶にあるあの研修風景そのまま。いくつも見てきた研修は、お決まりの文句こそあれど細部は異なっていた。当たり前だ、別のXなのだから。
     予定表を見る。管理人との顔合わせ。いきなりこれが出てくるってことは、最初に配属される職員が俺だということ。
     あとは……

    「僕たち、どこかでお会いしたことありませんでした?」
    ……なんてこった。マジかよ、そんなこと……
     待て待て、動揺は隠せ。
    「……あんたは、裏路地のドブ漁りと面識があるってのかい?」
     ぎこちない顰め面と共に、あの時誤魔化したのと同じ台詞でやり過ごす。

     業務は滞りなく終了。E.G.O抽出の残業まできっちり同じ。明日収容されるコンテナを選んで、管理人がマルクトと顔合わせして、……あぁ、オリーブか。すげぇ匿い方したよなぁ。絶対アンジェラ呆れてただろあれ。

    「落ち着けよ管理人。舞台に乗っちまったからにはもうやるしかねえんだ。お互い生き残ろうぜ」

    ――僕は自分の我儘のために、本来の出番を無視して舞台に立ち続けてしまったんです――

    ……!

     そういうことかよ……!あぁクソ、何もかも、俺が撒いた種だってのかよ……!

    「……うん。頑張る。頑張るから、生き残ろうね……」
    「その意気だ。俺もやれるところまではやるからさ」

     やってやろうじゃねぇか。もうあんたに約束を破らせるような真似はしねぇ。させてやらねぇ。
     きっと明日は管理人がガバって記録ミスして、いつの間にかコービンとアーニャがいるはずだ。

     また、会えたんだな。また、会えるんだな。
     また……一緒に過ごせるんだな。



     何故点の始まりまで戻ってしまったのか、そんなことわかるわけもない。今までに無かった現象だから。
     一つだけ思い当たるとすれば、もう管理人Xの出番は完全に終わってしまったということ。繰り返してきた結果のゴールがあそこだったということ。
     全てが台本通り正しく成し遂げられたならば、管理人は居なくなってしまう。
     それでは駄目だ。

     俺は管理人と、森林浴に行くんだ。

     だが……絶対に、しくじれない。
     仮に点の始まりまで戻った原因が”全てを成し遂げた”ためだったとしたら、あの時俺が飛び降りて死んだか、管理人不在により強制終了がかかったために点を飛んだ。しかし次に飛ぶ先が存在しないから、同じ点の始まりに飛ぶしかなかった。

     もしこの点のどこかでしくじって、俺が途中で飛ぶような死に方をするか、管理人が”成し遂げられない”状態になったら……
     また、新たな管理人Xが生まれる。そうなったら俺はこの点を置いて、また別の点に飛ぶ。元の点にも戻れなくなるし、今の管理人Xとも会えなくなる。
     それだけは絶対に避けなければならない。

     畜生。どうする。どうすれば管理人と森林浴に行けるような展開にできる?
     少なくとも管理人を光にしては駄目だ。

     最悪……本当に最悪、どうしようもないのなら。
     そうなったら――



    ――俺が、やるしかない。
     森林浴には連れていけなくなっちまうけど。
     ”管理人と森林浴をする”だけなら、きっと。

     管理人を、失わせはしない。絶対に。
     あんたも、あいつも、守り抜いてやる。
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    アロマきかく

    DOODLEたまにはサブ職員さんの解像度を上げてみよう。
    49日目、オフィサーまでも一斉にねじれもどきになってその対応に追われる中、元オフィサーであったディーバにはやはり思う所があるのではないか。そんな気がしたので。
    甲冑で愛着禁止になったときも娘第一的な思考だったし。
    なお勝手に離婚させてしまってるけどこれは個人的な想像。娘の親権がなんでディーバに渡ったのかは…なぜだろう。
    49日目、ディーバは思う 嘔吐感にも似た気色の悪い感覚が体の中をのたうち回る。その辛さに耐えながら、“元オフィサー”だった化け物共を叩きのめす。
    「クソっ、一体何がどうなってやがんだよ……ぐ、っ」
     突然社内が揺れ始めて何事かと訝しがっていたら、揺れが収まった途端にこの有様だ。
     俺がかろうじて人の形を保っていられるのは、管理職にのみ与えられるE.G.O防具のお陰だろう。勘がそう告げている。でなければあらゆる部署のオフィサーばかりが突如化け物に変貌するなどあるものか。

     もしボタンを一つ掛け違えていたら、俺だってこんな得体のしれない化け物になっていたかもしれない。そんなことをふと思う。
     人型スライムのようなアブノーマリティ――溶ける愛、とか言ったか――が収容された日。ヤツの力によって“感染”した同僚が次々とスライムと化していく。その感染力は凄まじく、たちまち収容されている福祉部門のオフィサーが半分近く犠牲になった。そんな元同僚であるスライムの群れが目前に迫ったときは、すわ俺もいよいよここまでかと思ったものだ。直後、管理職の鎮圧部隊がわらわらとやって来た。俺は元同僚が潰れてゲル状の身体を撒き散らすのを、ただただ通路の隅っこで震えながら見ていた。支給された拳銃を取り出すことも忘れて。
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    MOURNINGコービン君から見た緑の話。
    と見せかけて8割位ワシから見た緑の話。未完。
    書き始めたらえらい量になり力尽きて改めて緑視点でさらっと書き直したのが先のアレ。
    コービン君視点、というかワシ視点なのでどうしても逆行時計がなぁ。
    そして33あたりから詰まって放置している。書こうにもまた見直さないといかんし。

    緑の死体の横で回想してるうちに緑の死体と語らうようになって精神汚染判定です。
     管理人の様子がおかしくなってから、もう四日が経つ。



     おかしくなったというよりは……”人格が変わった”。その表現が一番相応しい。むしろそのまま当てはまる。
     Xから、Aへと。

    「記憶貯蔵庫が更新されたらまずい……それまでになんとかしないと……」
     思い詰めた様子でダフネが呟く。続くだろう言葉はおおよそ察しがついていたが、念のため聞いてみる。
    「記憶貯蔵庫の更新をまたぐと、取り返しがつかないんですか?」
    「……多分」
    「多分、とは」
    「似た状況は何回かあった。ただし今回のような人格同居じゃなしに、普段はXが表に出ていてAは眠っている状態に近い……っつってた、管理人は。相変わらず夢は覚えてないし、記憶同期の際に呼び起こされるAの記憶は、Aが勝手に喋ってるのを傍観しているような感じだったらしい」
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