Loud-Less 人類は声を失った。文明の進歩の導き出した結論は、会話において声は不必要だという"進化"であった。
今から何百年かの昔の事だった。
とある企業が、新しいコミュニケーションツールを提案した。
「-Loud-Less system-」
通称「L2」。詳しい仕組みは分からないが、体内に埋め込まれた機械が対面した相手と通信をし、まるでサイキックであるかの様な会話を可能とした。
しかし人類は進化の代償を負うことになる。
L2が普及して30年くらいが経った頃だろうか。その年から新生児はみな一様に声帯を持たずして産まれてくるようになった。
当時の政府は新生児へのL2の装着を義務付けを進めた。さらには生産数を増やす為に一時は国営化される話もあったという。勿論、L2の危険性も問題視された。しかし、その時にはもう人々はもはや声を上げることなどできなかった。
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