そのぬくもりに、癒されて side R 授業と授業の合間。
束の間の自由に賑わう教室で、次の授業で使う教科書を出しながら、チリ、とこめかみの辺りを掠めた痛みに暦は顔を顰めた。
窓の外を見上げると、黒い雲が重たく広がっている。五月に入ってすぐ梅雨入りした沖縄では、六月に入っても連日じっとりと湿気の多い空気と、重たい雲、突然の雨がセットでやってくる。
チリチリと強くなってきた感覚に思わずきつく目を閉じて、次の授業は寝て過ごそうと決めると、教科書を申し訳程度に立ててもぞりと己の腕を枕に机に伏せた。
なんとか授業をやり過ごし、明確に痛みを主張し始めた頭を片手で抑えながら、弁当箱を片手にふらりと教室を出る。授業中に降りだした雨はまだ勢いが衰えず、このまま暫く降りそうだ。
4476