信じたいリーとそれを邪魔する過去最初はこの人間の事が分からなかった。理解が出来なかった。
これがファウンス首席がやることなのかと、心底疑った
彼は人類であり、僕は構造体で。
では何故、隊員個人に贈り物をするのか、
何故構造体を、人類である指揮官が庇うのか、
構造体は地球奪還という、人類の目標と栄光のために死体を積み重ねているというのに。
つまり、構造体は人類の道具であり、兵器と言っても差し支えはないはずなのに
あの人は僕達と人間のように接するし、休まずに働いたら休めと言ってくる。
「奇想天外」「純粋無垢」
彼はそういった言葉が似合うのかもしれない
変なことをするし合理的じゃない。ただ世界を知らないのかもしれない
いや、知らなくていいんだと、思う
それこそ、彼が僕を知ってしまったら、
黒野に足を突っ込んだら、彼はここにはいないだろう
信頼、絆、連携。
そんな言葉、黒野には一切なくて、個人がのし上がって、生き残って、
他人を蹴落とすことばかりを考え、裏切りが積もっていく。
そうしないと自分が死んでしまうからだ。
だから、ここに来ても信頼なんてするはずがなかった。
なのに、なのに
信じろとか言うから、怖くて。
無理に決まっているでしょう、
それで僕が信じなくても貴方は笑ってしまうから
無茶しても笑って誤魔化すから
本当に貴方が分からない。
この人間が理解ができない。
「どうして何も知らない他人を信じて、そんな躍起になれるんです?」
我ながら可愛げのない言葉だ。
皮肉の籠った言葉を、他部隊の構造体を助けて怪我を負った指揮官に投げた。
仕方がなかった。だって、あれは助けるべきではなかった。
何度計算しても、共倒れする可能性の方が高かったはずだ。
すると彼は笑いながら
「だって、信じないと何も始まらないし、誰も私を信じてくれないだろう?」
誰だって信用するのは怖いんだ。
そう付け足した。