五月雨の「ワカ?」
「うむ、字はこう書くでござるよ」
和、歌。
難しい言葉だ。
万葉が木の枝で地面をざりざりと削って書いたその文字はとても難解で、十分後には忘れてしまいそうだと思った。
──抵抗軍に迎え入れられた私は、幕府軍との激突に備えて軍議に参加したり鍛錬に励んだりしていた。
雷電将軍……たった一度相見えただけで絶望的な力の差を思い知った。生半可な覚悟では到底敵わないだろう。九条裟羅の存在も忘れてはならない。
とは言えど、二十四時間気を張っているなど不可能で。
折れてしまった木の枝を残念そうに埋葬してあげている彼を見る。
白銀の髪の少年・楓原万葉。
まさかの再会を果たした私たちはすっかり仲良くなり、毎日こうして話をしている。
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