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    suno_kabeuchi

    twst夢とi7の作品投下垢

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    suno_kabeuchi

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    twst夢/イデア
    悶々とする思春期男子

    ##twst夢_SS

    取れない蓋に手を掛けた「よっしゃ、泥った! 3凸! こいつは周回がますます捗ってしまいますなあ〜!」
     思わず端末片手にガッツポーズ。2凸までは割とさくさくいったけどそこからいきなり渋くなるからマジでどうしようかと思った。ソシャゲあるあるとはいえムカつくものはムカつくので。
     ふと表示された時刻を見ればとっぷり夜も更けた時間だった。はて、と首を捻る。部屋をぐるりと見渡す。いつもならとっくに入り浸ってるか逆にそろそろ帰りますねと言ってくるあの子がいない。拙者が気づかない間に来て帰って行ったのだろうか。
     端末のアプリを切り替える。特に新規メッセージもチャットも来ていなかった。あの子は先輩の部屋に連日入り浸る程度には図太いくせに妙に律儀だから来る時と帰った後は必ず一言残していく。謙虚さはないけど真面目だよね、と言ったら「ふふく」と陳情が来たのを思い出した。もしかしてそれが来なかった理由、とか?
    「………いやいやいや! 別に来なくなってもいいじゃん。寧ろゲームに開発に自分の時間がたっぷり確保されて寧ろ最高だよ。それにあっちだって僕以外の奴のとこに行ったっておかしくないですし? 寧ろ今までがおかしかっただけっていうか? うん、元に戻っただけだから何も問題ないっていうか?」
     胸によぎった臭い物に蓋をして自らに言い聞かせる。その言葉がいやに空虚に響いて変なところでじくりとしたけれど、見なかったことにした。こんなくだらないものに時間なんて掛けたくない。
     翌日、呑気な顔して「イデア先輩、今日遊びに行きますね」なんてほざいた君にうっかりキレそうになった。マジでなんなの?
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    suno_kabeuchi

    TRAININGtwst夢/イデア・シュラウド
    集中している間に髪と戯れられてるはなし
    待てができるいいこなので ゆらゆらとゆらめくサファイアブルーを見つめること数十分。幸いにしてプログラム生成に集中しているイデア先輩に気取られることもなく、私はじっくりとっくり拝ませてもらっている。
     ほう、と何度目かもわからない感嘆の息が漏れる。昼だろうが夜だろうが、常に薄暗いイデア先輩の部屋ではそのサファイアブルーが陽の下のそれよりも鮮やかに映る。彩度の高いそれは驚くほど瞼に焼き付いては目を伏せてもその名残で閉じた視界に青が散る。
     足首まである長いそれはいざ座ると殆どが背凭れと痩躯の間に隠れてしまうけれど、一筋二筋と零れ落ちるそれもある。カーペットに座っていたけれど、そろりそろりと近づいて音もなくそれに手を伸ばす。燃えているだけあって毛先こそ掴めはしないが、もう少し上の方であれば実体がある。指に絡ませてみれば鮮やかな青に照らされて私の肌が青褪めたように光を受ける。視線だけイデア先輩に向ける。足元にいる私に気づいた様子もなくブツブツと早口で何か捲し立てながらキーボードを叩いている。それに小さく笑みを零して指に絡ませたそれに唇を添える。殆ど何も感じないけれど、ほんのりと温かい気がした。
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