ツイーティング・ミッドタイム「イデア先輩、どもどもー」
「ヘッドホンしてる相手によくもまあ話しかけられるよね……」
呆れたような顔をしてイデア先輩がヘッドホンを下ろしてくれた。それが嬉しくて口元をゆるゆるさせれば「いつもニコニコと……人生楽しそうで羨ましいっすな〜」なんて嫌味を吐かれてしまった。
無視してもよかろうにわざわざヘッドホンを外してくれるのを知ってるからですね。言ったら今後は無視されそうだから絶対言わないけど。言わぬが花。沈黙は金。
「で? 何の用? どうせくだらないことだろうけど」
「これは酷い断定」
「え、何? 違うの?」
「違うと思うじゃないですか。違わないんですよね、これが」
「この世で最も要らんやりとりさせられてる拙者かわいそう」
そう言いながらなんだかんだ付き合ってくれるあたり、こう、真面目というか。さすが勤勉の精神をモットーにするイグニハイドの寮長だよね。
「可愛い後輩が甘えてきてるんですから受け止めてくださいよ」
「ええ……知らんが……それ望むなら他にもっと適切な人材いるでしょ。というか、こうしておしゃべりに付き合ってあげてるだけ拙者メチャクチャ優しくない?」
「それは確かに。ありがとうございます」
「君、図々しいくせに変なところで素直だし謙虚だよね……」
「おっ、褒められました?」
「褒めてないが?」