ある意味絶滅危惧種ではある 集中が途切れる。電子の海に没頭していた頭が急速に現実を認識するや否や疲労感がドッとのしかかった。こういう遅効性のやつ、本当によくない。いや最中に来られても困るんだけど。
プレイヤーを止めてヘッドホンを下ろす。常に薄暗い僕の部屋に相応しく音は何もない。ベッドですやすやしている君の寝息を除いて。溜息を吐いて振り返る。
「自分の部屋か? あまりにも寛ぎすぎていっそ潔いっすわ」
大の字ヘソ天とかいう無防備かつ無遠慮が極まる寝方をしていてつくづく図太い後輩だなと思った。仮にも先輩の部屋でこうも爆睡することある? いや今まさに目の前であるんですけど。うっかり船漕いだとかなら辛うじて理解できないでもないけど、こうも堂々と惰眠を貪られるといっそ清々しいまであるよね。怒るとか嫌がるとかそういう次元を軽々飛び越えて来ましたからね。ある意味才能だよね。毒気を抜く天才。
どこか幸せそうな顔をしている君の寝顔を見ていると万事どうでも良くなってくるから不思議だよね。すごいやる気が削がれるっていうか。なんかもういいかなって気がしてくるっていうか。
いやしかし随分と間抜け顔で寝こけるもので。この世に怖いもんなど何もありませんって感じ。野生にいたら速攻全滅ルート辿りそう。危機管理能力ゼロか? というか人間であってもこの危機意識のガバさはまずくない? うちの学園、お世辞にも治安がいいとは言えないだが? どこでも寝て大丈夫なのはレオナ氏とかシルバー氏みたいな戦闘能力つよつよの民だけ定期。