ほんとのことはないしょだよ「イデア先輩、見てください」
「あ、魔法解析学のテスト返ってきたんだ。満点じゃん、よかったね」
「リアクションが薄い」
「そんなこと言われましても……他人のテスト結果なんぞ何を気にする理由が?」
「すごく頑張ったので褒めて欲しいです」
「ええ……それ僕に何のメリットがあるんです?」
「私の聞き分けがよくなります」
「それもはや脅しでは? ……はいはい、よく頑張りマシタ」
そう言って呆れたような顔で私の頭を撫でてきたのでニッコニコの笑顔をお返しした。
正直いって子供扱い極まっているのであまり嬉しくはないんだけど、どうにかしてイデア先輩と距離を縮めようと努力した結果がこれなので私が文句を言う権利はないというね。
スキンシップ拒否勢のイデア先輩にどうしても触れて欲しくて人事を尽くしたらこれに落ち着いてしまったのは無念と言わざるを得ない。もう一声! と内心でリズミカルにタンバリンを叩いているが現実に出せるわけがないので当然伝わる筈もなく。
撫でるにしても頭より顔がいいしなんならハグの方がより望ましいのだが、無茶をすると拒絶ロードを法定規則をぶっちぎって駆け抜けてしまうのでグッと堪えている。私は待てができます。わんわん!
「はい褒めた。あとは大人しくしてて」
「はあい」
ひらひらと手を振ってあっちいって仕草を受けてしまったのでこれ以上は強請れなさそうだ。残念。でも出ていけと言われないだけ距離感がだいぶ縮まっていると思うんですよ私としては。この調子でいつかイデア先輩にハグさせてやるぞ!