迷子の嘯きジョーク 不衛生に弾け飛ぶ汗。人類を抹殺する意志しか感じない太陽。こんな最悪気候の中で野外運動授業とかとても正気の沙汰とは思えない。百億歩譲って室内でやるべきだろ。熱中症とか脱水症状とか知らんのか。
「イデア先輩、生きてます?」
「勝手に殺さないでくれます? いやまあ確かにこのままだと死ぬだろうなって気がしなくはないけどさ」
「かわいそう」
「は? 何? 喧嘩売ってます? 今なら高額買取しますけど?」
「それだけ噛みつける元気があるなら大丈夫ですよ」
からからと君が笑う。可視化されたらぐっさぐっさ刺し貫いているであろう日差しなどものともせず。元気なのは君だよ。
「でも確かに今日は特に暑いですよね。さすが今年一番の気温」
「あー……そうだっけ。言われてみればSNSでそんなん見た気がする。なんで今日? 拙者が外に出る日くらい快適な気候であって欲しい」
「天候操作の機械作るしかなくないですかね」
「流石にオーバーテクノロジーすぎるんだよなあ………」
「あとはマレウス先輩にお願いするかですかね」
「なんで難易度上げた? 確かにマレウス氏が激おこすると雷落ちるけどそれ即ち死でしかないんだが?」
「えー」
名案だと思ったんだけどなあ、と嘯く君を若干引き攣った顔で見る。冗談であって欲しいんだけど君のことだから本気であっても違和感がないんだよな。いくらなんでもそれなりに親交がある後輩が消し炭にされる様はあんまり見たくないんだわ。