変われども変わらぬものもありにけり「うわイデア先輩が死んでる」
「グロッキーになってる先輩に対して開口一番にそれ?」
体力育成の補習後で運動場で屍になってる僕を見下ろしてのたまった君を睨み上げれば、「うーん風前の灯火」とかいう失礼極まることを重ねてきた。マジでなんなの?
「というかイデア先輩、実際どうなんです? 動けます?」
「動けてたらとっくに部屋に帰ってますけど……?」
ここで転がってる意味を考えてくれませんかね。こんなえぐい日差しの元で引き籠りが青空教室を楽しむわけがないんだが? 二十四時間三百六十五日永遠に籠っていたいんだが?
ようやく息が整ってきたのでどうにか体を起こす。アッ全身すごいピキピキいってる。これ今夜めっちゃ筋肉痛で動けなくなるやつ。マッスル紅氏との約束があるというのにそれは困る。
「あっキッッッッツ、あ、足が、腕が……っ」
「すごいプルプルしててキュートですよイデア先輩」
「さっきからマジでなんなの? 喧嘩売ってる? 高額利子付けて返したろか」
「励ましたのに」
「サイコパスか? あれが励ましになると本気で思ってるなら心の底からどうかと思う」
筋力の限界で再び地面に倒れ込む。青臭い芝の匂いに顔を顰めた。やっぱり外って最悪。最近はオルトにせがまれて麓の街まで行くこともあるしオルトのためと思えばいいんだけど、体力育成と飛行術は一生相容れない。