ハロゥ、ハロゥ、ディアマイ 遠目に見えた姿に一も二もなく駆け出した。方向的に人の流れとは逆行するので端っこを陣取って、速やかに。
「こんにちは、イデア先輩」
「ひいっ!? な、なんだ君か……いきなり背後から声掛けてくるのやめてくださらんか?」
「すみません。イデア先輩を見つけたので、つい」
ぺこりと頭を下げれば「いやついって何……?」と心底解せぬという呟きと共に怪訝な眼差しを賜ってしまった。うーん心の距離。でもさっさと退散しようとされないあたり多少は気を許されているのかもしれない。帰りたいとは思ってそうだけど。
「イデア先輩見つけたら渡そうと思ってたんですよね」
「え、僕に? 何?」
「コンポタ棒」
「なんで? いや確かに美味しいし好きだけどあまりにも突然で草生える」
「好きって言ってたからいるかなって」
「脈略なさすぎて何も理解できないんだが?」
「特に粉砕とかされてないですよ?」
「そこじゃないんだよな。なんで僕に渡そうとしたのって話」
「イデア先輩が好きって言ってたからですけど…?」
イデア先輩の発言があまりにも難解で首を捻る。好きって言ってる人に渡したら喜んでくれるかなって気持ち以外の何物でもないんだけど、それ以外の理由って何がいるんだろう。