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    まさき

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    まさき

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    PICREA開催イベント
    7/21の #教つど 
    【同人セクター・教授たちの集い】作品
    【静寂の中に言葉はいらない】
    現パロ作品
    パイソン教官×教授(女)
    ※「夏の宵空~限定映写シリーズ」パイソン教官の浴衣実装お祝い作品です。
    2人は出来上がってます。注意⚠️

    #ニューラルクラウド
    neuralCloud

    教つど【静寂の中に言葉はいらない】【静寂の中に言葉はいらない】
    現パロ作品
    パイソン教官×教授(女)
    ※「夏の宵空~限定映写シリーズ」パイソン教官の浴衣実装お祝い作品です。
    2人は出来上がってます。注意⚠️



    自分の目の前に立っている教授。
    久しぶりに間近にいるのが嬉しくて、パイソン教官はかがみ込んだ。
    もっと彼女の美しい顔を覗き込みたくて。
    だけど教授はフッと笑って口を尖らせる。
    「ダメよ。姿勢を正して。上手く着物を着せられないわ」と。

    今日は月に一度のオアシスの会報紙の表紙の撮影会だ。
    7月号の表紙モデルに、なんとパイソン教官が選ばれた。
    浴衣の似合う苦み走った良い漢だから、とのことだからだろうか?
    パイソン教官をモデルに抜擢したのは、目の前の教授だ。
    「せっかくの表紙なので。黒髪で渋みのある男性を教えて下さい」
    と、尋ねられて、教授の脳裏に浮かんだのは彼しかいなかったのだ。

    着替え室で2人っきりになり、教授自ら着付けを始めた。
    教授は慣れた手つきで、パイソンの浴衣の衿先を持ち、合わせて中心がずれない様に揃えた。
    「それにしても……驚いたわ」
    「何がだ?」
    浴衣の下前を掴み、脇に深く入れる。
    教授は1度パイソン教官を見て、手元を見つめながら言った。
    「頼んだのは私だけど、まさか本当に浴衣を着てくれるとは……」
    「上官殿の命令には従うさ。どんなに不条理な命令でも」
    「そうよね……貴方ならそう言うでしょうね。ごめんなさい……」

    教授は上前を合わせて、浴衣ベルトを腰に回して金具をかけた。2人の身体が密着した形になる。
    緩まない様にかなり強く帯を締めたが、パイソン教官は動じていない。教授は最後に帯をポンと叩き、ポツリと言った。
    「見てみたかったの」
    貴方のこの姿を、と。

    今回の企画のシチュエーションの図案をウィロウから渡された。この日の為に仕立てた浴衣も一緒に見せてもらった。

    浴衣を広げてまず、目に飛び込んできたのは、漆黒の夜空。足元は新雪の世界。
    相反する世界がグラデーションで表現され、騒がしくなく、静かな美しさがある浴衣だった。
    浴衣や着物文化に疎い教授でも、目を見張った。
    なんて素敵な浴衣だろうと思った程だった。
    ウィロウが
    「素晴らしいですよね。職人渾身の作ですよ」
    と横で腕組みをして深く頷く。

    「凄い浴衣ね……それでこれは誰が着るの?」
    「うーーん。最初は秋さんに着せようと思いましたが、職人曰く、若者向けの浴衣では無いとか……」
    「なるほど……」
    「もっと貫禄のある年配向けとかなんとか……誰かいますかね?」

    そうモデルの相談をされたのだけど、私には1人の男性しか思い浮かばなかった。
    歴史ある重みを纏った人…そして雪の様な静けさもあり……と、考えると、もう貴方の名前しか浮かばなかった。他の人では無理だった。

    教授は最後にパイソンに羽織を着せた。
    バサリとパイソン教官の背に白蛇の柄が広がる。この柄はモデルを紹介した後から、刺繍されたものだ。
    彼の記録を見て職人がどうしてもと縫いあげたらしい。流石オアシス最高の職人の技だ。

    教授の目の前に1人の侍が佇んでいた。
    墨より沈む夜空の色を纏い、降り積った新雪の上に独り佇む侍だ。
    雪に音は吸収され、辺りは静けさに包まれている。言葉はいらないとはこの事だ。


    想像していた以上で、教授は言葉にならず、うっとりとした。
    「素敵ね……パイソン」
    浴衣を着込んだパイソンは幸せそうな教授に釣られて、フッと笑う。
    「上官殿の期待に応じられて何より」
    そして教授を引き寄せた。
    突然の事でえっと驚く教授。
    そして彼女にしか聞こえない声で、囁く。
    「……それで上官殿の浴衣姿はいつ見られるんだ?」
    「ん……?」
    教授は知ってたの?という顔で見つめ返した。
    「当然だ。だからこの依頼を俺は受けたんだ」
    パイソン教官は教授の艶やかな長い黒髪を手のひらで救い、解かす。
    「あの記者に囁かれたからな。「モデルになってくれたら、教授にも浴衣を着せてみせましょうか!」とか、なんとかな」
    教授は一瞬顔を赤らめ、顔を逸らした。
    すぐに自分の気持ちを制御したらしい。向き直る。
    流石我が上官殿だとパイソン教官は思った。まだ少し頬に赤らみが残ってはいるか。予想外の取引だったらしい。
    「上官殿のこの美しい黒髪に、浴衣は最高に似合うと思ってな」
    俺も浴衣を着た教授を見たいと思っただけさ。
    とパイソン教官は付け加えた。
    「お互いそう思っていたというだけだ」

    「……そうみたいね」
    「白無垢でもいいぞ」
    「あらパイソン教官、日本の文化に勉強熱心ね」
    「上官ほどでは無いさ。俺を他のヤツに触らせたく無いと、着付けを一夜漬けした程の勉強家では無い」
    教授が眉を潜める。美しい灰色の瞳にうっすら怒りが灯り、消えた。
    「敵わない」
    と、
    「提案した時から私の負けだったのね」
    と教授は肩を竦める。
    パイソン教官は言った。
    「俺を燃やしてくれるのは上官殿だけだ。見せてくれ。上官殿の浴衣姿を」
    と熱く囁いた。


    その後、パイソン教官と他2人の浴衣姿の表紙が飾った会報は購買で瞬く間に完売した。
    そしてウイロウのパソコンとカメラの中だけに、教授の浴衣姿は残っている。
    雪降る中、番傘を差し、寄り添った2人の写真がしっかりと保存されていた。

    終わり
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