ある休日のひとこま。休暇の間は大抵ソープの方が早く起きる。その時に、若干の息苦しさを感じながら起きるが、その理由は胸の上に乗ったゴーストの頭の重みの所為だ。
大腕を広げて眠るソープの腕の中に収まる様に体を横に向けて、ソープの左胸に頭を乗せて、片足をソープの足に絡めながら静かな寝息を立てている。
息苦しさは感じるが煩わしさはなく、起き抜けに胸いっぱいの多幸感がソープを襲う。
休暇が明けると息苦しさからは解放される反面、無性に気寂しくなる程だった。
休暇を一緒に過ごしたり、ベッドを共にする様な関係になった直後は、トレードマークとも言えるバラクラバも外す事を戸惑っていた様だが、今ではそれが普通のことのように無防備な寝顔を見せてくれる事がソープは嬉しくて仕方ない。
閉め切られたカーテンの隙間から漏れる薄明かりの中でたっぷりと時間を使ってゴーストの寝顔を堪能するのが休暇の間のソープの楽しみの一つだ。
あまりにもじっと見つめ過ぎた所為か、ゴーストがむずかるように顔の筋肉をもごつかせてソープの胸板に顔を埋めてしまった。
「My Dear…そらそろ起きないか…?」
ソープの胸に顔を埋めて若干息苦しそうにくぐもった音を立てながら呼吸するゴーストの頭頂部にキスを降らせながら囁く声はソープ自身も驚く程、甘い響きを孕んでいる。
「…いまなんじだ…?」
「さぁ…?ただ外はだいぶ明るいぞ」
ゴーストの低く掠れた声は寝起きすぐだと舌足らずでこそばゆくなる可愛さを含む事を知ったのは一緒に眠る様になってすぐの事だった。何度も耳にしたが、慣れることはあっても飽きることは無い。
いつもの様にキスを降らせながらゴーストの頭に鼻先を埋めて深呼吸をする。初めは恥ずかしさから嫌がられたが、今は慣れたのかされるがままだ。
「かーてんがしまってるからあかるいかどうかなんてわからない」
「たしかに」
基地にいる時の姿からは想像できないが、この男は意外と寝汚い。休暇中はこんなやり取りを何度もする。
ソープはまだぐずって離れないでいるゴーストの頭と広い背中を腕の中に閉じ込めるようにして抱き抱えると、ゴーストの足が絡んでいない右足もゴーストの上に乗っける様に置いてすっかりと抱え込んでしまう。
「…じょにー…あしがおもい…」
脇腹の上に乗ったソープの筋肉質な太ももを撫でながらゴーストが文句を言う。
舌足らずな話し方は直っていないが、随分と意識もはっきりしてきた様子で、撫でていた手を太ももの付け根まで滑らせて、パジャマ代わりに着ている下着の裾から手を潜り込ませて尻頬を撫で始めた。
「おいっ、」
くすぐったさと仄かな興奮に笑い混じりの静止を掛けると、ゴーストは胸に埋めていた顔を上げて勝ち気な悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「さっきまで可愛いサイモン坊やだったのに!」
ソープは文句を言いながら悪戯をし返すように、唇を押し付けて派手なリップ音を立てながら顔を離して顔を顰めた。
「髭が痛い」
「当たり前だ、こう見えて大人なんでな」
ゴーストがニッと笑いながら身を伸ばして、キスの応酬を返すついでに、髪色と同色の短い髭をソープに擦り付ける。
「やめろよ!」
全く拒否感などない口先の静止を告げながら体を離そうとすると今度はゴーストがソープの体を抱え込んでベッドに押し倒す形となり、ゴーストの両腿に挟まれたソープの太腿に催し始めたゴーストの雄茎が押し付けられた。
「ぁー…サイモン…?」
「まぁ、大人だからな」
「真昼間だぞ」
「カーテンが閉まって部屋が暗いし、時計も見ていないからな…夜かもしれない」
「屁理屈だ!」
「嫌か?」
「……嫌じゃない事くらいわかってるだろ!」
ソープがそう吐き捨ててゴーストの唇に吸い付くと、2人して子供のように声を上げて笑い合いながら、シャツを脱がし合うと、ベッドの足元に捏ねられてしまったシーツと一緒にゴーストがソープに覆い被さって、2人して中に隠れてしまった。