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    qxqx

    @zzzqxqx

    勇尾
    Xが偽装垢疑惑で謎凍結されました・・・

    ※フォロ限の過去作は一部修正して徐々に全体公開に切り替えていこうと思います

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    qxqx

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    以前Xで呟いたネタの供養。

    現パロ勇尾。モブ視点。全年齢。
    趣味でFPS配信してる尾形にリスナーモブ俺が惹かれるも、謎の異母弟の登場で人知れず敗れる話。

    ***

    【設定】
    リアルで歯科医をしながら、趣味で時々FPS配信をする尾形(C○Dや樽コフなど)
    配信を盛り上げるつもりはなくて、試合の録画を残すために淡々とやっている。

    ***





    最初に彼を見つけたのは、深夜2時のTwit○hだった。
    カメラなし、マイクもオフ。
    ただただ静かにスナイパーライフルを構えて、完璧にヘッドショットを決めていく姿に、俺は一瞬で目を奪われた。

    名前は「HY4KU」
    コミュ名は「山猫ch(仮)」

    しゃべらない。コメントも読まない。
    でもたまに、設定ミスかマイクが入っちゃうことがある。
    「……チッ」
    「……はぁ」
    「っ……くそ」
    ただの独り言。だけどそれすら、俺は録音していた。

    リスナーは多くない。けど、それが心地よかった。
    「俺たちだけが知ってる」「わかる奴にしかわからない、真の癒し」
    そんな満足感に浸りながら、今日も深夜に山猫chを開く。

    配信に書き込まれるコメントは試合内容に関する健全なものだったが、
    いつしか配信主の知らないうちに、disc○rdで山猫chファンたちが集まるサーバーが密かに作られ、直接は言えない「今の吐息やば」「今日マイクありじゃん。当たり枠」などの会話をして盛り上がるようになっていた。



    ここのところ、配信が減っていた。
    寂しいけど仕事もあるだろうし、忙しいのだろうと思ってた。
    ――だから、その日、通知が来た瞬間、手が震えた。
    「山猫ch(仮)が配信を開始しました」

    しかも、マイクあり。

    嬉々として集まるリスナー。ただ、いつもと何か違う。
    求めていた声と一緒に、知らない男の声がする。

    『兄様、コーヒー淹れますか?』
    『……はい。お願いします』
    『砂糖は…三つですよね。ふふ』

    え?
    兄様?
    誰だ?
    え、ちょっと待って、ヒャクは一人暮らしじゃなかったっけ??
    「兄様ってなに??弟??」「あのヒャクが敬語使ってる……」「ヒャクちゃん、笑えたんだ……」「砂糖入れすぎじゃね?」
    disc○rdがざわつく。

    いつもは言葉少なめで、舌打ちしか聞けなかったのに。
    「ありがとう」って言った。
    「お願い」って言った。
    穏やかで、柔らかい声で――その男に、だけ。

    当たり前だけど、俺たちは配信外のヒャクのことを何も知らないことをわからされた。
    ヒャクはリアルで弟(上品そうな好青年)と付き合っていた。
    しかもめちゃくちゃ愛されてて、おそらく同棲を始めたようだ。

    俺たちリスナーが勝手に想って、勝手に盛り上がってただけだった。
    俺たちは言葉を交わすことすらできないのに。
    負けた。完敗だった。




    そしてその日以降も、俺たちは「山猫ch」に通い続けている。
    弟が横に居ると会話が発生して声が聞けることに気づき、開き直って二人の甘いやり取りを楽しみに来るリスナーが増えていった。

    俺たちの「推し」は、既に誰かのものだった。
    それを悔しいと思いながら、今日も配信を開く。
    幸せそうな推しは、今日もかわいかった。





    ***

    勇作視点の続きがあったら、FPSに疎いけど大好きな兄の趣味だからと理解しようとしたり、FPS仲間のヴァとロシア語でボイチャしながらランクマしてる姿にひっそり嫉妬してたらいいな・・・。

    ***
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    コルテナ

    DONE生産工場は勇尾ですが、これは勇尾として成立しないふたりのお話です。おがたがゆうさくさんから確かに受け取ったものがあるし、それを受け取ったことを認められたのが310という解釈で、二度目は受け取ったそれをゆうさくさんにもかえしたいと思ったりしてほしいな、というきもちで書きました。
    ただ受け取ったものをかえすだけ腕時計に目を落とす。夏季休暇の空港を少々甘く見ていた。あとは搭乗するだけとはいえ、待つ身には気が気ではないだろう。足を早めて、人混みを少々強引に進む。ふと、後ろから自分を呼ぶ声がした。
    「勇作殿」
    決して大きな声ではないのに、よく通る低い声。足が止まる。振り返ると、歳のあまり変わらない男がこちらをまっすぐに見ていた。光を通さないような、真っ黒の瞳が、ひどく印象に残る。
    「あの、すみません……どこかでお会いしたでしょうか」
    人の顔と名前を覚えることは、不得手なほうではないというのに、彼の顔も名前も、全く出てこない。ならば初対面と断じていいはずなのに、なぜかためらってしまう。彼は小さく首を振った。
    「今から俺が言うことは、聞き流して頂いて結構です。なに、時間はかかりません。再びこうして姿を見ることになるとは思っていなかった。ただ、こうして向かい合った以上、俺はあなたに、伝えなければならないことがある。ははあ、戸惑ってますね。いいんですよ。狂人の戯言と思って頂いてかまいません。……俺は、かつて、あなたに多くのものを貰いました。その時は欲しくもないと思っていたんです。捨ててしまいたいとすら、いや、捨てたのだと思っていました。でも、本当は違っていた。あなたに貰ったものは、確かに俺の、“よすが”になった。本当です。それを直視したら、生きていけないと思っていたのに。……今でも俺は、あなたに貰ったものを抱えて生きています」
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