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    ロム太郎

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    ロム太郎

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    >OPで描かれている過去編で「くたばり損ないの銃野郎!いい加減地獄に落ちやがれ!」とかやってるはずです それでも互いにくたばらなかったので「俺たちが地獄」になったはず お前が俺の地獄 何故ならお前はこの俺が殺せなかったので
    >剣が遼の腹に刀ぶっ刺して「犯してやるよ、クソ野郎。コイツを俺のペニスだと思って感じて死ね!」とかみんなやらなかったの!?
    という感想になったので書いた過去捏造剣遼

    唾と地獄を飲み込みて 空を、肉を、骨を、鋒で断つ度に、背筋に行き過ぎた興奮が走る。肉体が歓喜に震え、その悦びを他人に知ってもらいたくて喉を震わせれば、獣の咆哮が街に響いた。
     刀は単純明快だ。振るえば地獄が一つ、二の太刀で二つ、三の太刀で地獄に落ちたくない人間が逃げ惑う。
     粗野であれど卑に非ずいう気高い志など、海動剣は端から持ち合わせていない。
     剣は世界の輪廓と己の魂の輪郭を感じ取れる刀を心底愛していた。
     だからこそ、距離を取って引鉄に指をかけて命を奪おうとする拳銃使いを心底理解できなかった。
     地獄絵図を描く責任を持とうともしない腑抜けども。
     地獄が残らないほど極悪の限りを尽くすところまでが、自らが作り出した地獄の沙汰への責任の取り方だ。
     遠いところから弾丸を放ち、地獄を築く責任を取ろうともしない拳銃使い。殺すという興奮すら抱かないほど、海動は息をするように無責任で卑怯な下請けの地獄の建築者を殺してきた。だのに、息をするように何も考えず名も知らぬ腹立たしい拳銃使いを組み敷いている。
     海動に組み敷かれた男は、退屈と不敵を重ね合わせた気持ち悪い顔をしていた。
     感情を読み取れない顔の時点で腹立たしい。
     テメェの考えてることを汲み取れってか? その労力を俺に求める時点でテメェを殺す。
    ――考え事は嫌いだ。たとえ自分の腹の中であっても探りたくない。
     心底そう思っているというのに、海動は刀で男の首を刎ねるどころか四肢を斬り落とすことすらできない。自分で自分のことが面倒になってきた。
    「テメェの地獄を見せてみろ」
     腹の探り合いなど煩わしい。胸襟を開く前に体が動く質故に、海動は煩わしさを感じた瞬間に刀を振るっていた。それまでの躊躇いが嘘のように、鋼の一閃で鮮やかな赤い血が舞う。
     頭でも首でも心臓でも股間でもなく、斬りつけたのは腹だった。
     斬った腹に刀を突き刺して抉ったところで、遅れて理解がやってきた。腹の探り合いが煩わしいから、直接腹の中を見た方が早いと思ったのだ。
     斬りつけられただけではなく、死を捩じ込むように刀で腹わたを掻き回されたというのに、男は怒り狂うどころか冷たい眼差しを海動に向けてきた。
     思わず舌打ちをしてしまったのは仕方のないことだろう。
     那由多の太刀を重ねて腹を切ったこと数知れず。裂いた腹の中に地獄などあるはずがない。そんなことを今更確認してどうする。
    「俺の地獄を感じるか? コイツで犯してやるよ、拳銃野郎。地獄の権化である俺が、無責任で卑怯者のガンマンとやらに男の勲章を捩じ込んで直々に教えてやる。感じ切って死ぬんじゃねえぞ」
     腹に刺した刀をもう一度捻る。半分のさらに半分も鋒を動かさないうちに、額に殺意が張り付いていた。
    「その貧相なブツじゃあ俺は逝けないな。お前が自分で扱いてヨガっている間に、俺が地獄を叩き込んでやる。安心しろ、俺は無駄撃ちはしない」
     腹に刀を突きつけられて、男はようやく単純明快な顔になった。
     舌なめずりひとつ。やけに唾液が溢れて、否応なしに興奮しているのが分かった。
    「いいな、ゾクゾクするぜ」
     口の中で余る唾液を吐き捨てる。唾を吐いた先は、腹立たしいから腹を割いた拳銃使いのはらわた。
     地獄を腹の中に作り出す。鋒と銃口が地獄の輪郭をなぞる瞬間が迫っていた。


    230516
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    ロム太郎

    DONESKL見て
    >OPで描かれている過去編で「くたばり損ないの銃野郎!いい加減地獄に落ちやがれ!」とかやってるはずです それでも互いにくたばらなかったので「俺たちが地獄」になったはず お前が俺の地獄 何故ならお前はこの俺が殺せなかったので
    >剣が遼の腹に刀ぶっ刺して「犯してやるよ、クソ野郎。コイツを俺のペニスだと思って感じて死ね!」とかみんなやらなかったの!?
    という感想になったので書いた過去捏造剣遼
    唾と地獄を飲み込みて 空を、肉を、骨を、鋒で断つ度に、背筋に行き過ぎた興奮が走る。肉体が歓喜に震え、その悦びを他人に知ってもらいたくて喉を震わせれば、獣の咆哮が街に響いた。
     刀は単純明快だ。振るえば地獄が一つ、二の太刀で二つ、三の太刀で地獄に落ちたくない人間が逃げ惑う。
     粗野であれど卑に非ずいう気高い志など、海動剣は端から持ち合わせていない。
     剣は世界の輪廓と己の魂の輪郭を感じ取れる刀を心底愛していた。
     だからこそ、距離を取って引鉄に指をかけて命を奪おうとする拳銃使いを心底理解できなかった。
     地獄絵図を描く責任を持とうともしない腑抜けども。
     地獄が残らないほど極悪の限りを尽くすところまでが、自らが作り出した地獄の沙汰への責任の取り方だ。
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