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    ngro
    isro
    俳優パロ
    役作りの為に3人がルームシェアするお話し
    一万文字超えてしまったので
    前半と後半わけます

    #凪玲
    #ngro
    #潔玲
    jieLing
    #isro

    お兄ちゃん♡sラブ(前半)「玲王!主演決まったよ!!」
    「ありがとうございます」

    玲王
    3年前Blue boyコンテストでグランプリを受賞し俳優デビュー
    演技は未経験だったが天性の演技力と抜群に整った容姿、モデル顔負けのスタイルで一気に人気を高めた俳優界期待の星
    ドラマ、雑誌、映画にと常にメディアを湧かせているが態度が大柄になることも無く、ファン対応仕事への姿勢スタッフへの気遣いもでき内部からの評価も高い
    演技が上手い若手、CM本数、抱かれたい、理想の彼氏ランキングで今年度全て一位を取ったことも世間を騒がせた

    「脚本もらってきたよ、今度顔合わせがあるからね」
    「わかりました」
    渡された脚本に目を通す

    【お兄ちゃんs♡ラブ】
    凄いタイトルだな…
    検索すると、人気のある漫画が原作らしい
    主人公は明るく優しく正義感が強い性格だが幼い頃に母親を事故で亡くし、甘えるのが下手で少し頑張りすぎてしまうところがある大学生
    父親と2人で暮らしていたが、ある日再婚する事になったと告げられる
    父親の幸せに喜んで受け入れるが、再婚相手には1つ年下の双子の連れ子がいた
    顔も性格も似ていない双子だが、兄弟が居なく寂しかった主人公は義弟を受け入れ可愛がる
    義弟も懐いた頃、両親が海外に移住する事となる
    主人公と義弟2人は学業がある為、日本に残り3人で暮らすことを選択する
    苦難や葛藤を乗り越え3人が本当の家族になる過程を描いた感動のストーリー…らしい

    「へ〜面白そうですね」
    「注目度の高いドラマだから、一気にまたファンが増えると思うよ!いつも完璧だけど今回も頑張ってね」
    「任せてください」
    「あ、電話だちょっとごめんね」
    マネージャーが楽屋から出ていく、きっとまた仕事が入ったのだろう

    親の反対を押しきり足を踏み入れたこの業界
    持ち前の器用さで順調にキャリアを重ねている
    …親が著名人である事は隠している
    俺だけの力で存在を証明してみせる
    このドラマだって絶対に成功させたい

    とはいえ…俺ひとりっ子なんだよな〜兄弟が出来る役作りなんてどうしたもんか


    顔合わせ当日、主要メンバーが集結した

    主人公役…玲王
    義弟役…凪誠士郎、潔世一

    「よろしくお願いします!」
    っと元気よく入ってきたのは潔世一
    前にも学園ドラマで共演した事がある
    天才子役として名を上げいまだに第一線で活躍する実力者
    事務所が大手では無い為、主演よりは相棒、親友ポジションが多いが、潔の演技力でドラマの質が上がると評価される
    実際に仕事に取り組む姿勢、謙虚な性格は好感が持てる
    いい奴の役柄が多いが…前に見た若手人気役者を集結させた不良ドラマでは不良達を束ねる長を演じ、あまりの雰囲気の違いに世間を賑わせた

    「ふわぁ…ども」
    大きな欠伸とスマホを片手に入ってきたのは…
    凪誠士郎
    最近人気急上昇中のモデルだ
    …何かやる気を感じられないなコイツ
    ダウナー系、個性的だと評価されており
    日本人離れしたスタイルに母性本能を擽られる甘い容姿
    無気力なのが逆にウケ、女性だけではなく男性からの支持も高い
    モデルが主だから演技はあまり見た事がないけど実力はどうなんだ?潔と並べると見劣りしてコイツとしてはマイナスになるではないかと思う
    今回のドラマが初演技になるらしく、正直足を引っ張りそうで不安だ

    顔合わせが無事に終わり今日のタスクは終了
    久しぶりに早めに終わったから、ゆっくりと休もうかなと帰り支度をしていると玲王!っと元気よく声をかけられた
    「あ、潔さんお疲れ様です」
    人懐っこい顔で潔世一が寄ってくる
    「さん付けと敬語はやめろよ〜同い年だろ?」
    「でもこの業界じゃ先輩だし、一応ね」
    揶揄うように笑えば何だよ〜距離感じるからやめろ!と微妙な顔をされた
    「玲王この後まだ仕事ある?ちょっと役の事で相談したい事があってさ」
    「俺も終わったから大丈夫、ご飯行こうよ」
    やったぁと嬉しそう喜ぶ、犬みたいで可愛い
    「あ、凪も来いよ!皆で役について話し合おうぜ」
    潔は凪誠士郎と面識があるようだった
    人懐っこいし面倒見もいいから孤立してる奴が放って置けないみたいだ
    それに対し面倒くさいと一言
    お前…仮にも先輩からの誘いだぞ?ほんとやる気ねーなコイツ大丈夫かよ?思わずため息が溢れる
    「そんな事言うなよ、ほら玲王も一緒だから」
    チラッと見られた
    うわ、綺麗な顔だな表情も変わらないし人形みたい
    「…ならいーよ」
    渋々承諾した凪を連れて御用達の店に入る
    並べられた料理に美味そうとガツガツ食べる潔に反して凪は食べるのめんどくさいと机に伏せている
    食べるのを面倒くさがったら人間として終わってないか?
    「〜でさ、俺ひとりっ子なんだよ、兄弟愛とかわからねーんだよなぁ」
    潔も同じところで悩んでいたようだ
    「兄ちゃんってどんな感じだろ?」
    「んー俺もさひとりっ子なんだよ…全く同じところで悩んでたわ、なかなか掴めなくて」
    「凪は?兄弟いる?」
    「…俺も1人」
    何と兄弟愛がメインのドラマで主要メンバー全員がひとりっ子だった事が判明する
    「…やべーな」
    「あっじゃあさ!!」
    少し暗い雰囲気を察してか潔が提案してきた
    「ドラマを成功させる為に、3人でルームシェアしねえ!?兄弟を体験しようぜ」
    …突拍子の無い提案かとも思うが一理ある
    同性愛の役作りの為に一緒に暮らした人達も居たぐらいだ
    体験し身につけるのが1番手っ取り早い
    「いーじゃん、やろう!」
    よっし!と潔が笑う
    凪も来いよと潔が声をかけると
    えー…わかった…だって
    てっきり面倒くさいと断るかと思ったけど案外やる気はあるのかもしれない


    こうして俺たちはドラマ完結までの間3人でルームシェアをすることになった


    おぉ〜と潔が声を洩らす
    各自の部屋とリビングキッチン、見晴らしの良いバルコニーまぁ及第点ってところか
    何か高そうな所…家賃払えるかなとオロオロ落ち着かない様子だから、これ親戚の持ち物だから払うのは光熱費だけで好きに使っていいぞと伝えると、まじかよ…と潔が口を開けっぱなしのあほ面をする
    そんなにか?極力要望を絞って抑えたつもりなんだけど
    「てか凪荷物それだけ?」
    凪の手荷物は数着の衣類、本、そしてサボテン
    「なんか意外、植物育てるタイプなんだな」
    「チョキはコミュニケーションを取るための友達」
    ?ふ〜ん??
    荷物を置き役割を決める
    「じゃあ、俺が兄ちゃんだからしっかり2人の面倒を見るからな!」
    役とできるだけ同じ環境下の中で生活を共にする

    長男 玲王 大学生
    頑張り屋、家事が得意、甘え下手

    次男(双子)潔 高校生
    責任感が強い、兄の負担にならないように率先して家事を手伝う

    三男(双子)凪 高校生
    要領が良く何でも出来る、クールで一匹狼、でも実際は寂しがり屋の甘えちゃん

    「でも同じようにしてたら玲王の負担が大きすぎない?仕事して大学も行ってるのに」
    「潔心配してくれてありがとな!でも大丈夫全部兄ちゃんに任せろ!!」
    はは、もう役に入り込んでるしと苦笑いをされた
    しかし同年代の弟ってのもなかなか面白いな2人がどうやって甘えてくるのか楽しみだ


    おはよ〜と潔がまだ眠そうな顔で部屋から出てきた
    「おはよう!」
    「うわ、イケメンすぎて朝は眩しすぎる…え?てかこれ全部玲王が作ってくれたの?」
    簡単な朝ごはんだけどキラキラした顔で驚いてくれるから作り甲斐がある
    ありがとう!すげえ!美味い!と何度も褒めながらばくばくと食べてくれた
    「あ、俺一限からだからもう行くな!ご馳走様!美味かった」
    「おう、気をつけて」
    さてさてもう1人の弟くんはいつ起きるのだろうか?
    シンクで洗い物をしようとすると背後からとてつもない圧を感じた
    「おはよぅ〜」
    「えっあ、凪おはよう!」
    いきなり後ろから抱きつかれる形になり少し驚いてしまった
    「こ〜ら濡れるぞ」
    袖が濡れる事も気にならないのかギュッと力を強める
    腰に凪の腕が纏わりついて動きづらい
    しかも背中にぴっとり顔をつけられてこそばゆいし
    何か甘え方が兄弟より恋人同士みたいなんだけど
    「凪は時間大丈夫か?」
    「あー俺もそろそろ出ないと最近忙しかったから単位ヤバいんだよね」
    「そうなんだ、大学どこ?」
    「…白宝大学」
    「え!?」
    一緒じゃん…こんなデカいの目立つだろ、全く気付かなかった
    やばいと言いつつ離れようとしない凪を何とか準備させ一緒に大学へと向かった
    着くなりキャーと黄色い悲鳴が聞こえる、数日間来なかっただけでこの騒ぎ
    笑顔で手を振れば女の子達が倒れるリアクションをする、流石にそれは大袈裟だと思うけど…そして同時に聞こえるヒソヒソ声

    何でアイツが隣に??

    アイツね…変装なのか分厚い伊達メガネをして猫背、イケメンオーラを見事なまでに消し去った凪が隣に立っている
    「なぁ…もしかして気付かれてねーの?」
    「さぁ?でも皆何も聞いてこないから知らないんじゃない?」
    嘘だろ…コイツ凄えな
    変に関心しているとチャラそうな男に声をかけてきた
    「玲王今晩飲み会行こうぜ!お前が来ると女子が集まるからな〜頼む!!」
    「あー悪い、今撮影期間中でスケジュール詰まってんだ」
    「そっか人気者は大変だな!でも俺等の事忘れるなよ〜たまには構え!」
    「当たり前だろ!また今度誘ってくれよな」
    ニコっと笑えば相手は満足そうにし手を振るからそれに応える
    「友達?」
    「さぁ同じ専攻の奴かも?ちょっと覚えてない」
    「…」
    凪が沈黙した、何だよただのファンにきちんと対応しただけでも褒めてほしい
    どうせここの連中は芸能人と知り合いというステータスが欲しいだけ、本当の俺自身に興味がある奴なんているのかも怪しい…
    「じゃあ、終わったら迎えに行くから」
    「へ?」

    「お疲れ」
    凪の方が早く終わったのに本当に待ってた、椅子にだらしなくもたれ掛かりスマホを弄っている
    「なんだよ、先に帰ってても良かったのに」
    「兄ちゃんが心配で」
    思わずぷはっと吹き出す
    「何だよそれ、ブラコン設定?」
    「…そうかも」
    まぁ本当は甘えちゃんって設定があるくらいだからブラコンでも間違ってないのかもしれない
    なら今朝のハグもその一環か、コイツの中ではもう早々にキャラが定まってきてるな、これは負けらんねぇ
    「そっか…待たせてごめん!一緒に帰ろう」
    「うん」
    ………高校生役だよな?手を握ってくるのは幼稚すぎねぇ?


    「へー2人とも頭良いんだな」
    そんなことねーよと特に意味は無かったが潔にそれは嫌味だろと言われてしまった
    「玲王はわかるけど凪も勉強出来るって意外だな」
    「そう?入試簡単だったよ」
    凪の言葉に潔がこっちは完全な嫌味だよとツッコミを入れる
    「まぁ…勢いでルームシェアしたけど俺らお互いのこと何も知らないんだよな」
    「確かに…玲王趣味は?」
    「お見合いかよ、趣味かそうだなぁ学ぶことかなぁ」
    意識高〜とまた微妙な顔をされたがそんなに変か?普通だろ
    「凪趣味は?」
    「スマホゲーム・漫画・動画」
    簡潔な返答に潔もだろうな〜っと納得したようだ
    「潔は?」
    「俺はね散歩かな、でも得意というかずっと好きなのはサッカー!」
    おお〜何かぽいわ、潔ってちょっと少年誌の主人公みたいだもんな
    「4歳から続けてて本当好き」
    何かスイッチが入ったらしくサッカーの良さを熱弁される、そういえば昔少しやったぐらいでそこまでハマらなかったんだよな〜まぁこれも物事を円滑に進めるために距離を縮めておいて損はない
    今度俺にも教えてというと満面の笑みでうんっと首を縦に振る、凪も一緒にやろうなと元気よく誘えばうぇ〜めんどくさーと断られていた


    共同生活は特に不便も無く3日目が過ぎた
    「凪撮影で遅くなるって」
    めんどくさがらずちゃんとやってんのかな?
    凪の普段の様子を見れば謎は深まるばかり、アイツあれで何であの生活と食生活であそこまで大きく育ったんだ?スキンケアもろくにせず肌ツルツルだし
    「なぁ味薄い?」
    潔が作ってくれた煮物を味見する
    あ、何か懐かしい味…美味いよと言えば少し照れた顔をする、一人暮らしする時に母親に教えてもらったらしい
    凪と違い一通りの家事スキルはあるみたいで率先してやってくれるから助かる
    何か新婚みたいだなと揶揄うと顔を真っ赤にしへ!?と間抜けな声を出す
    ちょっと面白くて良い嫁さんになるなとまた揶揄うと、なんだそっちかと明らかにテンションが下がった…何で?
    「なぁ…玲王ってさ、好きなやつとか居る?」
    「?いやいねーけど」
    何で急に恋バナ?そっかそっかと何が嬉しいのかわからないけど今度はご機嫌になる、変な奴…あ、そうか
    「潔は好きな奴が居るわけだ」
    聞いてくるって事は話したいからなわけで
    俺の問いにへ!?っと声が裏返る、わかりやすいなコイツ
    「へー図星ね、どんな子?」
    「えっと…笑顔が素敵でよく笑う子、そして頑張り屋であと…凄い美人」
    可愛系が好きなのかと思ったけどそうではないらしい
    女優かと聞けば違うけど同業らしい、アイドルかモデルか?潔はけっこう女の子から人気あるからこれはバレたら炎上しそうだな、せめてドラマ完結後に炎上してくれ
    「同業となるとけっこう大変だな、まぁ俺で良ければいつでも相談に乗るよ」
    親切心で言ったつもりだが、ありがとう少し切なそうに笑顔を作った


    「凪〜起きろ〜」
    「あと…5分…」
    さっきも同じ事言ったし、もう昼前だってーのに全然起きないコイツ
    なんか兄より母親になった気分だ
    ゆさゆさと体を揺らすが反応は無くなった
    はぁ…俺ももう少ししたら出るし、放っておくかと凪から手を離そうとした時グイッと腕を引っ張られ、うおっとベッドにダイブしてしまった
    「何すんだよ」
    「寒い〜」
    寒いか?もうだいぶ暖かくなってきた気がするけど
    …この部屋凪の匂いがする、何か落ち着くな…
    ってダメだ!居心地良さに一緒に寝てしまいそうになった
    「ほら、俺行くから昼ごはん冷蔵庫に入れてるから温めて食べろよ」
    ベッドから抜け出すべく上半身を起こそうとすればダメと腰に手を回され引き戻された、何がしたいんだよコイツ
    「ん〜暖かいね」
    人で暖を取るな〜っと抜け出そうとするがびくともしない
    「ッおぃ」
    凪の大きな手が服の中に進入する、臍の周りを撫でてきてゾワゾワするからやめてほしい
    「なぁ…離して」
    俺の要望は受け入れられず許可なしに手がどんどん上へと辿る
    「…ぁ」
    !?自分から漏れた声に驚き両手で口を覆う
    決して気持ちが良かったわけじゃない!急に冷たい指で触れられたから
    「な、凪ッそんなところ触るな」
    胸のあたりを撫でられて変な感じがする
    「ちょっ…ん…」
    長い指で摘まれる、痛くない程度の力でぐにぐにと弄られぷくりと形を露わにした
    「固くなってきた…可愛い」
    耳元で呟かれる、コイツ…いい声してんな
    「って可愛いってなんだよ!」
    油断したのか力が弱まったところで一気に飛び出して抜け出すことに成功した
    「彼女と間違えんな!!」
    間違えてねーしと呟いた凪の言葉は大袈裟に閉めた扉の音にかき消された


    今朝そんな事があっても顔に出さないのがプロ
    順調に撮影をこなして午前中のタスクは終了
    午後からはドラマの1話の撮影が入っている
    現場へ向かうと潔がスタンバイしていた
    高校生役だから制服だ、全く違和感がない
    しばらくすると凪もやってきた、時間ギリギリじゃねーかアイツ

    【本番3、2、1】

    合図と共に俺たちはこの並べられた言葉と共に世界を造形する

    「俺は賛成だよ」

    「父さんは父さんの幸せを選んでよ、それが俺の幸せでもあるから」

    「えっと兄さん…」

    「これから宜しく」

    「…」

    「えっと…」

    「俺はコイツと2人で良かったんだ、兄弟なんて他に必要ないアンタは家族じゃない」

    第一話、再婚相手とその連れ子と初めて会う大事なシーン
    潔は流石で母親の幸せを願いつつも新しい家族に戸惑う心境を見事に再現している
    そして凪は…思ったより上手いな、いや世辞抜きで凄いなコイツ
    新しい家族を受け入れられない難しい役柄なのに、潔と比べても見劣りしない…雑な所はけど、コイツ天才か?

    【カット!!!お疲れ様です】

    「お疲れ様〜なぁぎ!」
    お前凄いじゃーんっと髪をわしゃわしゃ撫でればびっくりしたような顔で見られた
    「どうした?」
    「俺上手だった?」
    お、やる気がないように見えて案外心配性か?なんだよ安心させてやらねーとな
    「上手だった!流石だな!」
    「…俺もっと上手に出来たらまた褒めてくれる?」
    「ん?褒める褒める〜凄いなぁ凪は」
    「うん、頑張るね」
    ??なんかよくわからないがやる気は出たらしい
    前から思ってたけど結構甘えちゃんだな、もしくは餌を撒くと奮起するタイプか?
    まあそんざいに扱って撮影に影響がでても困るし上手い具合に転がしてやるか


    「かんぱーい」
    無事に1話の撮影を終え、普段はあまり飲まないお酒やつまみを乱雑にテーブルに並べ早すぎる慰労会を開催した
    「やー玲王ってやっぱり凄いよな、主人公が似合う」
    「何だよそれ、お前も凄えってーの」
    それにしても凪上手かったな!驚いたよと素直に潔が褒めたが、簡単じゃんあんなのとまた憎まれ口を叩かれ、…むかつくと凪の態度に呆れる表情をするからまーまー凪はきっと天才気質なんだよと宥めれば、天才なのは玲王もだけどなと言われた
    自分を天才だとは思わない、高みを目指す為にできることをしてきただけだ、まぁそれを苦とも思わないが
    多忙なスケジュールをこなす日々、同世代と楽しく飲むなんてあまり経験がなくつい騒ぎすぎてしまった
    「…凪潰れたな」
    いつも飄々としているから酒に強いものだと思っていたがポーカーフェイスに似合わず可愛い顔ですやすやテーブルに伏せて眠る凪が子供みたいで可愛かった
    「明日もあるしそろそろお開きにするか、潔先にシャワー浴びてこいよ」
    「ありがと」
    潔が戻ってくる前に片付けておこうと手を伸ばすと凪に手を掴まれた
    お?起きた?
    大丈夫か?気分悪く無いかと顔を覗き込めば
    「ねぇ、今日俺頑張った」
    っと掴んだ手をにぎにぎと触ってくる、てかアピールが凄いな
    「そうだな、まぁ一個だけアドバイス」
    酒も入ってたし立ち位置がどうのセリフの抑揚がどうのと潔と並んで少し気になったところを先輩風さらしてと言われればそのお通りだが、ここを直せばもっと高みへいける
    コイツは才能をもっている
    「どーだ?次の撮影の時意識してみ、格段に良くなるとおもうぜ」
    「………」
    …?何この間
    「うん…頑張るね」
    …………お、おう?





    撮影は順調でトラブル無く進んでいく
    次のシーンは…序盤の見せ場、凪と険悪になるシーン

    「なぁ…」
    「うるせぇ、兄貴面すんな」
    「…」
    「だんまりかよ、めんどくさ」
    ッ…
    なんだろセリフ通りのはずなのに凄く胸が締め付けられる
    役では無く俺自身に向けられた言葉かのように
    ッ凪の俺に向けられた冷たい目に声が出なかった

    『カット!!!』

    監督の声にハッとする

    「玲王くん〜次の台詞」
    「あっ」
    「玲王が台詞飛ばすなんて珍しいね」
    「はは…悪い、すみません!もう一回お願いします!!」
    指摘したところが全て直り正直完璧だった
    俺今…コイツの演技に飲まれかけた

    「あー疲れた〜」
    「お疲れ様」
    くたくた〜とソファに寝そべる凪によく飲んでいるレモンティーを渡す
    ありがとうと受け取るとチラチラと俺を見てくる
    どうした?何か付いてるか?
    「今日調子悪い?」
    「別に?何で?」
    「台詞忘れたから」

    「あーえっと悪ぃ…えっとさ、悔しかったんだよ」
    何がと首を傾ける、そりゃそうだ急に言われてもな
    「お前の演技に圧倒されたっていうか、飲み込まれそうになった…うん…ッ」
    ガバっと一気に距離を詰めた事に流石の凪も驚いた様子で目を丸くした
    「凪お前やっぱ凄えよ!天才っているんだな!」
    「そんなキラキラして目で見られても、それに天才なのは玲王の方だと思う」
    「俺は本物の天才じゃねーよ、実力があるのは間違えねーけど!」
    それは当然!やれば何だって出来るのが俺だ
    簡単に手に入る物はつまらない
    だから俺はこの世界へ足を踏み入れた
    俺を御影じゃなくただの玲王として皆に認められる為に
    「玲王がそんなに言ってくれるって事は、上手だったって事だよね?」
    「おう!バッチリだった!」
    じゃあさと俺の手を取って自分の頭の上に乗せれば、たくさん褒めてと高身長からの珍しい上目遣い



    「よーしっよし!頑張ったなぁ!偉いぞー♪」
    不覚にも可愛いと思ってしまった
    凪ってなんか犬みたい、白くてホワホワのポメラニアン
    ちょっとデカいけど
    俺に撫でられ気持ち良さそうに目を細める
    「ただいま〜…何してんの?」
    「潔おかえり、凪が頑張ったご褒美に撫でてんの」
    どんなご褒美だよと呆れた顔をしてそっと潔も凪の頭に手をやるとバシッと払らった
    「潔はしなくていい」
    「何でだよ!!!?」



    『面倒臭いよ、玲王』

    『もう知らない』

    何だこの記憶…覚えがない…
    胸が締め付けられる…痛い…

    「ツ」

    冷や汗で身体が濡れている
    悪夢を見たようだった
    悲しくて…寂しくて…潰れてしまいそうな…



    「おい…凪…何で俺のベッドに寝てんだよ!」
    俺の怒鳴り声に目を眠そうに擦り、ん〜玲王おはよぅと呑気な声を出す
    おはようじゃねぇ!重い!潰れる!
    俺を抱きしめるように眠る凪の圧で本当に潰れてしまいそうだった

    「ふぁ〜夜中トイレに行ったら部屋間違えたみたい」
    そんな訳あるか、コイツの事だからきっと部屋に戻るのが面倒くさくなってトイレから近い俺の部屋に忍び込んだって所だろう
    たく…前から感じてたがコイツのパーソナルスペースは完璧にバグってやがる
    「部屋間違えたからって抱きつくな苦しかったわ」
    「えーだって〜玲王うなされてたし」
    うなされてた?俺が?
    「嫌な夢でも見たの?」
    「…いや…覚えてない」
    悲しかったような気はするが夢の内容は頭からすっと消え失せていた
    そっか〜っと1つ大欠伸をしまたベッドに倒れ込む
    それ俺のベッドだけどな
    今日は朝から撮影だから準備をする為に部屋着を脱ぐ…何かじっと見られているような
    「…何だよ」
    「別に、お構いなく」
    一応牽制をしたつもりだったが全く効く気配は無く少しだけ気まずさを感じながら身支度をした
    てか、お前も撮影だよ!さっさと支度しろと言えば脱がせてと長い手を広げる
    本当に甘えん坊、赤ちゃんみたいだな
    よっと脱がせれば赤ちゃんに似合わず引き締まった身体が目に入る
    「凪って鍛えてんの?バキバキだな」
    「そう?玲王だって引き締まってんじゃん」
    まぁ俺は体型維持の為筋トレや食生活に気を遣ってるつもりだが、凪って家に帰ればスマホでゲームしながらごろごろしてるイメージ
    しかもちゃんとご飯食べさせないと主食は飲料ゼリーや菓子パン
    よくその栄養源でそこまで身長を伸ばしたものだ
    「ジロジロ見過ぎ、えっち」
    「えっちなのはお前だ!なんか存在がえっちぃ」
    この顔でこの身体、そりゃー女の子がキャーキャー言うのも頷ける、きっと選びたい放題だろう
    でもこないだ寝ぼけて俺を間違えて触ってきたっけ
    てことは彼女居るだ
    「凪の彼女ってどんな子?」
    「…ん?」
    いくらルームシェアしてるからってあんまり聞かない方が良かったか?自分の事あんまり語らないし
    「彼女居ないよ」
    「…そうなんだ〜」
    コイツ…遊んでるんだな…あんな簡単に人の服の中に手を入れてきて慣れてたし、人に興味ありませーんって顔して案外ヤンチャ
    なんか誤解してる?と聞かれたからいや、別にと返すと不服そうな顔で見つめられた
    「でも好きな子はいる」
    「へ〜そうなんだ」
    いつまでも半裸の凪にクローゼットから適当に服を選び着せてやればいきなり両手を掴まれる
    誰か気になる?と問われたからいや、別にと先ほどから同じ返答をすればまたも不服そうな顔をした
    スキャンダルさえ起こさなければ好きにしてくれていい
    あんまりプライベートを詮索するのも悪いしな
    「玲王だよ」
    「そっか、さんきゅ」
    コイツも冗談なんて言うんだな、全く面白くないけど
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    💖💖💯💯💯👏👏👏👏💖💖😍💯💯💯💖💖😍😍👏👏💞💞💜💜💜💜💜💜💜💜💜💜👏👏
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