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    星むぎ

    @osenchimugi

    BL小説

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    星むぎ

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    ポリセクを知らないふたりが結果的にポリセクみたいになってしまう話。

    同い年大学生カップル
    陽キャ攻め 桃真(とうま)
    ダウナー系受け 青也(せいや)

    #創作BL
    creationOfBl
    #創作BL小説
    creativeBlNovels
    #ボーイズラブ
    boys love
    #ポリセク

    ポリセクもどき・1日目「あーお腹いっぱい!替え玉もう一回すればよかったぁ!」
    「桃真はほんとよく食うよな」
    「今日は特別腹減ったもん」
    「替え玉はいつもしてるじゃん」
    「えー?はは、確かに」

     月曜日の街を、桃真と青也は並んで歩いている。大学が終わった後、フットサルのサークルでひと汗かいてラーメン屋に飛びこんだ。じゃんけんで勝った青也のチョイスで、味噌ラーメン。それぞれチャーシューを3枚トッピングしたが、青也は自分の分の1枚を桃真のどんぶりに入れた。本当は2枚で充分だったし、桃真の驚いた顔と嬉しそうな笑顔が見られたのだから儲けだ。

     青也のひとり暮らしをするアパートに近づくほど、人通りは少なくなっていく。大きな信号をひとつ入って、コンビニを通り過ぎたらどちらからともなく手を繋ぐ。大学で出逢って付き合いだしたふたりの、いつの間にか生まれたいつも通りだ。

    「うち寄ってく?」
    「んー、三分だけ寄ってく!」
    「三分?」
    「今週締め切りのレポートが終わりそうになくってさあ……ガチでやんないとヤバい」

     繋いだ手がぶんぶんと振られ、桃真の焦りが窺える。指を絡めるように繋ぎ直した青也は、掠めるように桃真の頬にキスをひとつ。するとブレーキでもかかったかのように、桃真は立ち止まった。
     一瞬で赤らむ頬が、チカチカと点滅する外灯の下でもよく分かる。少しでも落ち着けたらと思ってのキスだったが、キスひとつで恋人は照れる。かわいいな、と眺めていたら、今度は早足で歩き出した。
     忙しい奴だ、そんなところも好きだけど。

    「桃真?どうした?」
    「青也の家に急いでる」
    「なんで?」
    「青也のせいでしょ」

     早く早くと急かされて、アパートの鍵を開ける。扉を開くのが早いか、桃真に押しこまれるのが早いか。なだれこむように玄関に入ったら、閉まったばかりの扉に押しつけられた。早急なキスを拒む理由はない。唇と舌がすぐに同じ温度になって、吐息が混じり合う。堪らず茶色い髪に指を入れると、桃真の喉の奥がごくりと鳴った。

    「これ三分で帰れる?」
    「うう、帰りたくない。でもパソコン、今日家に忘れてきてる」
    「ダメじゃん」

     ぐすぐすと泣いたような声で、首元に口づけながらじゃれついてくる。桃真がかわいくてかわいくて、本当は青也だって一緒にいたい。背中を撫でてやると更に抱きつかれ、互いに張りつめたそこがぶつかった。

    「なあ桃真、抜いてやろっか?」
    「え!マジ!?してほしい!……けどそしたら、絶対最後までしたくなっちゃう」
    「すればいいじゃん」
    「三分過ぎちゃう」
    「もう過ぎてる」
    「うう……でも我慢する。レポートちゃんと出したいから」
    「……ん。偉いな」

     心の中で残念に思いながら、青也は桃真の髪を撫でる。桃真はいわゆる陽キャで、だがやるべきことはちゃんとやる。桃真のそういうところが青也は好きだ。触れ合うことはいつだって出来るのだから、今は背中を押してやりたい。

    「じゃあまた明日だな」
    「うん。でももうちょっとキスしていい? そしたらレポートもっと頑張れる」
    「ん、いいよ」

     手を繋いでまた始まったキスは、さっきよりスローでとびきり甘い。膨らんだそこが時折ぶつかると堪らなくて。
     ああ、触れられたかったな。
     口にはしない分、ただただ桃真の名前を呼んで。早くレポートが終わりますようにと、青也はこっそり願った。
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