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    minou

    @Miiiii_OP

    ルとサにいちゃいちゃしててほしい。

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    minou

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    ルサンWebオンリー開催おめでとうございます!
    数年前に初めて書いた「30代ルサン×ひげ剃り」のお話を、少し加筆修正しました。
    どこかに載せるのは、この作品がはじめてです。
    (本当は今書いてるのも載せたかった…)
    拙いですが、よろしくお願いいたします。

    好きはふえていく新しい海賊王の誕生から早10年が経った。船長が海賊王となったあとも麦わらの一味は航海を続け、世界各地で宴やら戦いやら、冒険の匂いを追いかけ続けていた。

    歳月が経つにつれ、この船に乗る者たちの1日の過ごし方は変わっていった。特に大きく変化があったのは、この船の船長とコックの朝である。

    仲間としての時間を共にするにつれ、二人は互いに恋に落ちた。初めて関係が変わった日、二つの想いが噴火するかのように、どちらからともなくキスの雨を降らせ、愛を注ぎ込み、ベッドへと深く沈んだ。獣のように睦みあったその明け方、動けなくなったコックは、その関係をどうしても仲間に隠したいと言った。しかし船長相手ではそう上手くはいかなかった。

    仲間たちが起き出してくる間、頑張って、頑張って我慢していた秘密を、朝ごはんがテーブルに並べられた直後、早々に全員にぶち撒けたのだった。彼は、幸せを秘密にしておくことができなかった。
    「サンジとコイビトになったっ!」
    嬉しさを全身で表現する彼と、羞恥で顔を真っ赤に染めワナワナ震えている彼の恋人を見た仲間たちは、大好きな二人に起こった変化を自分のことのように喜んだのだった。

    そして船長が海賊王となった時、彼とその恋人は、自船の甲板にて結婚式を挙げた。
    結婚式で仲間たちから貰ったプレゼントは、結婚した二人のための新しい部屋と、何枚も連なった「朝ごはんの作り置き券」。この券は、コックの料理が大好きな仲間と、忙しいコックの時間が少しでも欲しい海賊王との妥協案でもあった。朝ごはんを作り置きしてこの券を冷蔵庫に貼っておいてくれれば、二人の時間を増やすことができる。そしてこの券は使い回しも可能なのだという。
    毎食毎食手の込んだ料理を作るこの船の一流コックは、理由がない限り作り置きなどなかなかしないが、恋人と夜を共にした次の日は、それが難しいことがほとんどだった。コックは、自分の仕事を最初から最後までこなせなくなることをどうしても嫌がった。だから恋人期間に二人が身体を重ねるのは、島に上陸した時だけ。
    そのためこのプレゼントは、今後彼らにとって、甘い甘い夜が着実に増えていくことを意味した。
    さらに、「夫夫なんだから、一緒に過ごせる時は二人の時間を優先しなさい。でも絶対に無理させちゃダメよ」という航海士からの言葉を受け、「おう!」と元気よく返事をした海賊王は、満面の笑みで彼の夫を抱き抱え、コックは恥ずかしさのあまり、鼻血と噴き出し気を失った。



    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    少し遅めのサニー号の朝。
    一味が再会して数年後に作られた、比較的新しい特別な部屋。
    陽が差し込み、波の音が穏やかに響く中、仲間たちの声がする。あいつら、朝メシはもう食い始めてるかな。仲間たちを思い浮かべながら考えながらサンジは鏡の前に立ち、朝の準備をする。

    軽くシャワーを浴びて、歯を磨き、おれ専用のドライヤーで髪をセットする。
    そして最後に一番慎重なパートを。

    朝のルーティーンの中で彼が一際時間をかけるのは、若い頃から大事にしているカッコいい男のトレードマーク、ひげである。幼い頃、尊敬する養父にチビナス扱いされたくなくて生やし始めたそれは、自分の中ではまだどうしても物足りない。しかし体質が原因なのか、いまだにひげの育ちが良くないため、なかなか思うようにはいかないのだ。
    そういう訳なので本当は毎日剃る必要はないけれど、船の食事を担うコックとして、そして美しいナミさんとロビンちゃんを愛する男として、朝の手入れを怠るのは以ての外だ。こだわりの強い彼の辞書には、料理と愛と身だしなみにおいて「手を抜く」という言葉は存在しない。
    この頃髪も少しずつ伸ばしているし、レディにモテるいい男度も上がるといいが…などと将来の展望を考えつつ、剃りすぎないよう慎重に、今日もその白い頬に剃刀を当てていく。


    「サンジ〜、何してんだぁ?」
    「うおっ!!」
    突然背後に予想だにしなかった衝撃を感じ、すぐに「何か」が巻き付いた。いや、予想できなかったわけではないけれど。その「何か」はどこまでも伸びる腕でおれをぐるぐる巻きにする。
    「なんでいなくなるんだよ。寂しーぞ!」
    その伸びる腕の持ち主ーーこの船の船長・ルフィが、ボサボサ頭と半開きの目でグズグズとごねている。
    「いなくなってねェだろ。つーかおれの朝は忙しいんだよ。んなこと知ってるだろうが」
    「いなくなった! 起きたら隣にいなかったもんよ。寂しいったら寂しいんだ! おれのサンジぃ、戻ってこーい」
    そんなことを言いながら、寝ぼけたままのルフィはおれの首に顔を埋める。ちゅっ。ちゅっ。ちゅっ。髪の毛と首にたくさんキスをくれる。
    かわいいな、おい!今日も今日とてそんなことを思う。

    おれが心から愛し、愛されたこの男と結婚した時仲間達からもらったプレゼント。それをここ何年も、ありがたく使わせてもらっている。
    燃え上がる夜もあれば、ただ一緒に寝るだけの夜、おしゃべりをするだけの夜もあるけれど、この部屋とあの券のおかげで、おれたちの時間が格段に増えた。
    ちなみに、今日は後者だ。
    前者の時は、おれはほぼ一日使い物にならなくなる。

    『海賊王』モンキー・D・ルフィを形容する言葉として「格好いい」「かわいい」は、妥当なところだろう。1つ、敵やなんかを圧倒する時はとてつもなく格好いい。これは全世界が認める事実だ。2つ、ルフィの手配書は、「この写真を撮った記者はルフィのことが大好きなのでは」と疑うほど、キラキラと輝く笑顔を浮かべている。このかわいさもまた、世界中の人々の知るところだ。
    だが。しかし。
    おれの場合は、そこに「3つ、とんでもない色気」が追加される。それはルフィがこの世界でおれだけに向ける、唯一つの溢れるほどの愛。おれなんかが貰っては勿体無い程の愛を、この男はおれ一人に注いでくれる。
    それは身体を重ねる夜に限らず、24時間365日、1秒たりともその愛が途切れる瞬間はない。

    「おいおい、シャキッとしろよ、海賊王。もう朝だぜ」
    「ん、朝だな。朝メシ食うんだ、おれ。でもその前にサンジが足りねェんだ」
    キュンッ!
    憎まれ口を叩きながらも、毎度のようにおれの心はときめく。ルフィの言動一つ一つにキュンキュンする心臓は、おれにはもう止められない。
    かれこれ10年以上一緒にいる、齢30の、しかも男。今なんて起き抜けの汚ねぇツラを晒してやがる。でも、その何もかもがどうでも良くなる程、毎日毎日、おれの恋心は更新される。だって、彼に本気の恋をして、おれもまた途切れることのない愛を彼に捧げているのだから。今日もまた、朝から心臓をギュッと掴まれた。


    「そんで、何してんだ? 顔泡まみれじゃねェか、朝からセッキョクテキだなー、サンジは」
    少しずつ覚醒してきたルフィが、背中に張り付き右腕をおれに巻いたまま、左手でおれの顔につている泡を指で突く。
    「見りゃ分かるだろ、ひげ剃ってんだよ。そして泡じゃねェ、シェービングクリームだ。危ねぇから離れてろ。あっおいっ、食うな!」
    クリームを舐めようとするルフィの眼前に剃刀を突きつけながら、そろそろ離れろと促す。いい大人に危ねぇってのは、ちっとガキ扱いしすぎたか。いやでも、いつまでもガキなのは間違ってねェ。
    「危なくねェよ、だいじょぶだ。サンジはおれに危ないことしねェからな!」
    そこか!否定するとこ、なんかズレてねェか?
    「なんか違う気もするが…まあ、いい。ほら、行った行った」
    かわいかったり面白かったり。それでいて格好よくてエロかったり。おれはあらゆる意味でヒクヒク上がりそうになる口角を、剃刀を当てて押さえた。

    「ヒゲかぁ。おれ、ヒゲ生えたことねぇなあ」
    結局離れなかったルフィは、おれにくっついたまま自分の顎に手を当て、鏡に向かって不思議そうに首をかしげる。
    確かにこの男は、30を超えてもひげが生えたことがない。
    「お前はまだガキなんだよ。大人になれた頃には生えるようになるんじゃねェか? おれみたいな大人の男は毎朝しっかり整えるんだ。ほら、カッコいいおれの出来上がりだ」
    今日の形にも満足がいって、最後に顔を洗って自信満々でルフィを振り返る。
    「へぇ、そういうもんか」
    もうひげ剃りへの興味を失ったのであろうルフィが、おれの顔を覗き込む。
    「なんだ? おれに惚れ直したって?」
    「ん、毎日惚れてる。でもサンジはいつでもかわいいし、カッコいいぞ! おれはなー、今までも今日も明日も明後日も、サンジが大好きだ!」
    ズキュン。ズキュン。ズキュン。また、心臓を射抜かれた。
    ルフィがおれに向ける言葉は、今日もおれにクリティカルヒットする。
    あー、おれ、幸せすぎて死んじまうんじゃないだろうか。
    恋をしてから10年以上も経つのに、もうずっと、そんなことを思う。

    周りの奴らが見たら、おれたちはただのバカップルにしか見えないだろう。
    でもどうにもできないんだ。好きは増えていくことしかないのだから。


    The END
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