ネガティブ男の日常「おはようございます」
「……」
ーー通話へと入って来ているはずのチームメンバーから挨拶が返ってこない。
即座に通話者のビデオを確認する。
カメラは切れていたが、ミュートのアイコンは付いてない。
ということはつまり……。
い、いや、そんなはずはない。
見えているのが僕だけだからと言って、声を掛けているのに無視するなんてことは無いはずだ。
確かに僕の能力は低いし、物覚えも悪く、その癖面倒くさがりでものぐさだけだけど、だからといって無視する理由にはならないはずだ。
ならないはずだよな?
いやでもポンコツという言葉がこれ以上にまでしっくりくる男は他に居ないし、もごもごと口ごもりながら話すもんだから汚い声がさらに汚くなって聞こえるだろう僕から話しかけられることすらストレスに感じてしまっているということは十二分に考えられるわけで。
だとしたら推奨だといわれているカメラがいまだに付かない理由としては彼にとって充分なものなのだろうし逆に僕の目元にクマが何重にも走っているような見るだけで疲れを誘発してしまうような顔を見せびらかすような行為をしてしまっている今は間違いなく挨拶が返ってこないほどに嫌われている要因になりうる。
存在していて申し訳ない、それでも生きることにしがみつくを得ない自分という醜い豚が、いや豚という名詞を使えば豚に対して失礼とも取れるようなゴミクズが挨拶をするなんてゴキブリが不意に自分の耳に飛び込んできたものと捉えても仕方がないのであって、詰まるところ嫌われる原因というのは僕はと一方的にあるのだ。
ここは一旦別のメンバーが揃うまでマイクをミュートにし大体的な脳内反省会を開かざるを負えないーー
「すみません、なんかマイクとカメラの調子悪くてあいさつ返すの遅れちゃいました!!おはようございます、先輩!」
「あ……そ、そうだったんだ、おはよう」
これが僕の日常だ。