火と私は切っても切り離せないものだ。
火があるから私は活動ができて、火にあぶられながら、私は生きている。
だから多少の火傷なんて日常茶飯事。いちいち心配していては身がもたない。
それを何度言っても、ロージャは私の新しい火傷を見る度に苦しそうな顔をした。
彼とて火を扱えば火花で白い肌を焼き、冷えがちな指先に熱を込めて帰って来る。
大小問わず火傷の痕は多く、致命傷になるようなものでも平気だから大丈夫と笑って済ませようとするのだ。
それを、私は一度も笑ったことが無い。
彼の命に至る傷を、どうして笑うことができよう。
「……難しいこと考えてる?」
ベッドの上。
私を押し倒してキスを雨を降らせていたロージャが一旦顔を上げて苦笑する。
「あー、分かる?」
「うん。顔に出やすいからねグレッグは」
「そっかぁ……」
自分で咲かせた胸元の花畑へ頬を寄せ、火傷の残る肌をロージャがなぞる。
もどかしい快感がそこから背中を掛け登るようだ。
「っ、別に、ずっとロージャのことしか考えて、ない、んっ」
「ほんと?」
「ほんとだって。他のこと、考える余裕無い……っ」
じわじわと高められていく体が求めるところに触れてくれない。
彼に愛され、彼好みに仕上げられたせいで、こんな生易しい刺激ですら下半身が濡れてしまうのに。
「ロージャ、もう」
「うん、ごめんね。ちゃんとあげる」
あやすように頭を撫でられて胸が切なく高鳴る。
全てを燃やす業火とは違う、私を満たす温度。
私を愛してくれる蒼い炎。
「す、きぃ」
途切れる呼吸の合間に漏れた言葉を唇ごと拾い貪られる。
そのまま、そのまま。
骨の髄まで私を燃やして、灰も残さず焼き尽くして。