嘘が下手な彼女だからすぐに気付いた。
目を合わせようとしても、意図的に反らされていることに。
もともと身長差があったとはいえ、椅子に座っていれば関係無い。なのにこちらから見ようとするとさっと顔ごと逃げられてしまう。
ベッドの中も電気を消すよう強く求めたり、目をぎゅっと瞑ってしまったり。……それを快楽に沈めてどろっどろのぐちゃぐちゃにする愉しさも勿論あるけど。
とも、あれ。
可愛い顔で拒絶を示されてしまうのはじんわりとキツイので。
「ねえ、何で私のこと避けるの?」
「ひぇ」
壁に追い込んでぐっと顔を近づける。逃げないように片手を細い肩へ置き、もう片方はグレゴールの後ろ頭に添えてしっかりと目を合わせる。
「私、何かしたかな」
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