missing「鬼太郎さん、お久し振りです……」
「あなたは……」
久しぶりに現れたその人は、変わらず美しく変わらずどこか寂しげに笑っていた。そんな姿を見ていると、初めて会った時に時間が引き戻されてゆくような感覚に陥る。
数年前、ニューギニアへ向かう空港のロビー。忙しい仕事の合間を縫って駆けつけ、たった一人の肉親を想い、小さなお守りを僕に託したひと。誰よりも彼を信じ、慕っていたひと。あの頃と何一つ変わらない彼女だったけれど、唯一あの時と違っていることがあるとすれば、その瞳がひどく悲しそうに見える……ということだけ。
「鬼太郎さん……」
彼女の言葉はそこで止まってしまった。しばらく様子を伺っていたが、一向にそこから先を切り出せないでいる彼女に「啓子さん?」と促すと、ようやく意を決したような表情をして続きを口にする。その声は僅かに震えていた。
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