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    straight1011

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    straight1011

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    流姉。意味わからないと思います。雰囲気だけ。オリキャラが名前だけ出る。
    弟とコンビニへ行く。

    途中の話⑤ 何か重いことを聞かされたような気分だ。知りたいことを知ることが出来たのに、どうしてこう心が重く沈んでいるのか。もし自分が気づけていたら、何か変わっていたのだろうか。そんなのは考えるだけ無駄で、無駄なのに余計嫌になる。
     ぼんやりと廊下を歩いていると、誰かの後ろ姿が見える。てっきり弟だと思った葵は、思い切りその誰かの肩を抱いた。
    「楓、姉ちゃん奢るからコンビニ行……?」
     弟にしてはやけにひょろいし小さいと思って顔を覗き込むと、そこにはぴしっと固まった三井がいて。ちなみに楓は、三井の正面にいて葵を呆れたように見ていた。
    「間違った」
    「どあほう」
     三井に軽く謝って、葵は弟の元へと歩いていく。三井はしばらく固まっていたが、やがて急に電池が入ったおもちゃのようにバクバク心臓が鳴りだしていた。
    「コンビニ行こう」
    「めんどくせ」
    「そう言わず」
    「……」
     気だるそうに、しかし行かないとは言わない弟を引き連れて葵は一緒にコンビニへ向かった。自転車を引く楓の傍を歩きながら、葵は空を見上げる。月明りはぼやけていて、雲がかかっているらしかった。
     コンビニの明かりが見え始めた頃、今まで静かだった楓が唐突に話し出した。
    「監督と何話してた」
    「何って」
     葵は何と答えるか迷って、それから適当に誤魔化した。千乃佳のことを楓も知っているが、しかしどうせ薄い反応をするに決まっている。それくらい、千乃佳と楓とは関わりが薄いからだ。
    「……お前」
    「姉ちゃんをお前呼ばわりか」
    「進路、どーすんの」
     予想外の質問に葵は一瞬固まったが、すぐにいつも通りの顔になる。
    「さあ」
    「バスケ続けんだろ」
    「さあ」
    「……続けねえの」
     そう言った弟の声は、珍しく寂しそうな色が滲んでいた。葵が楓の顔を見上げると、別に弟は寂しそうな顔はしていなくて、ただどこか小さい頃の、自分の背中を追いかけてくれたあの頃の面影が過った。
    「……バスケがすべてじゃない」
    「……」
    「でもバスケばっかしてきた人生だから」
    「……」
    「結局バスケはするんじゃないの」
     わからないけど、そう付け足して葵は立ち止まった。コンビニに着いたからだ。
     楓は自転車を止めて、それから葵を見た。葵は楓を待っているようだったが、少し視線をやってそれからコンビニの方に歩いていく。
     明るい店内に入ると、やる気のなさそうな男の声がした。真っ先に葵はスイーツ売り場に向かっていく。その後姿を見ながら、楓はジュース売り場へと行く。特に飲みたいものもない。食べたいものもなくて、ただぶらぶらと店内を歩いた。何か奢ってやると言われたが、買ってほしいものがあったわけではない。別についてこなくてよかったのに、葵に言われたら断れなかった。
     結局何もいらないと言った楓に、葵はああそうと言って会計をすました。外で待っていた楓だったが、コンビニから出てきた葵は楓にアイスをひとつ渡した。どうやら買ってくれたらしい。葵は楓とは違うアイスの包装を破っていた。
     それをコンビニ前で食べながら、葵は話し出した。
    「多分家は出ると思う」
    「……」
    「楓が寂しがるから出ないようにしたかったけど」
    「寂しくねー」
    「お父さんと相談してる」
     しゃくっとアイスをかじる音がする。いつの間にか自分よりも背が小さくなっていた姉の頭を見下ろしていると、どうしてか嫌になった。あんなに憧れて背を追いかけていた姉を越してしまった事実が何だか気に食わなくて。
     それから二人は特に会話もなく家に帰った。二人で家に帰るのは久しぶりで母に驚かれた。
     姉はご飯を食べてお風呂に入ると、母に手紙の書き方を聞いていた。誰に書くのかと母に聞かれて、お世話になった先輩と返していた。いったい誰のことが、楓はわからなかった。しかし手紙なんて書く葵を初めて見た楓は、気味が悪いと思った。
     リビングで手紙を書いていた葵だが、楓が風呂から上がったときには既に意識が落ちていた。机に伏して眠っている姉の、書きかけの手紙を覗き込んだ。
     私にバスケを教えてくれて……、そこで眠ったのだろう、字が途切れていた。
    「起きろ」
    「ん……」
     姉の頭を容赦なく叩くと、葵は不機嫌そうに起きた。それから寝ぼけ眼で楓を見て、次に時計を見て、ああ……と納得したような声を出した。
    「ありがと……」
     手紙を片付けながら、葵はお礼を言った。楓はしばらく傍に居て葵の姿を見下ろしていたが、葵が立ち上がると葵についていくように一緒にリビングを出た。そんな楓に葵は何も言わない。
    「おやすみ」
    「……」
     葵は自分の部屋に入っていく。その姿を見送った後で、楓は欠伸をひとつこぼして、歯みがきをするために洗面所へと向かったのだった。

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