ばついち流 没 目が覚めると、もう夜の七時だった。おそらく流川のベッドに寝かされていた私は、気だるい身体を起こした。流川は隣で寝ていたが、いつの間にか目を開けてこちらを見ていた。
「……シャワー、借りていい?」
「……」
お互い、何も着ていない状態だった。私の着替えはきっとこのベッドの下にある。流川のものと混ざっていて探すのは多少面倒だろう。
流川は私の腰を引き寄せて、まだいいだろ、と吐息交じりにそう言った。触れられただけでビクッと反応してしまう。それを誤魔化すように、多少強引に腕から抜け出して服を探す。とりあえず下着を身に着けて、立ち上がった。
「バスタオルは洗面所の戸棚にある」
「……ん、わかった」
そうして無心で身体を洗い流した。越えたらまずい一線を越えた自覚があった。流されてよかったのかどうなのか、正直わからない。考えたくはない。鏡に映る自分の身体を直視することが出来なかった。