魚住純から見て、仙道彰はその見た目からは想像も出来ないほど誠実な男だった。
いや、遅刻癖と練習に来ないことに関しては擁護の余地もなく駄目男なのだが、バスケットのプレイと人間関係において、仙道は誰よりも誠実な男だった。
スーパーエース、天才、オールラウンダー、様々な名で呼ばれてはいるが、仙道の本質は献身だ。
ここぞと言う場面で決めるシュート。どんな劣勢でも試合の空気を一気に変えてしまう抜群のバスケセンス。目が何個ついてるんだ、と言いたくなるほど広い視野から繰り出されるパス。チーム全員に自信と落ち着きを与える一声。自分勝手、自分本位とは程遠い、チームの勝利のためになんだってするその精神。だから、周囲は皆仙道に絶対的信頼を置き、頼りにし、憧れるのだ。
1962