鶴丸国永を甘やかさないと出られない部屋「ここを鶴丸国永を甘やかさないと出られない部屋とする!」
と、鶴丸は部屋にやってきて早々に、そう宣言した。
ここ数日の鶴丸は、ひたすらにただ出陣を繰り返す毎日である。浮かぶは赤披露。いくら戦が好きといえど限度がある。
今も耳の奥で派手な音楽が鳴り響いているぜ、と文句を言いながら畳の上に座り込んだ。楽器兵とかいう、此度の戦で与えられた特別な兵装の影響だろう。
俺は、と悩みつつ大倶利伽羅は口を開いた。
「……俺は、割と、あんたに対して甘いと思う」
「驚いた! 自覚があったんだな」
鶴丸はまんまるに目を見開いた。
けれど、ち、ち、と指を振る。
「甘いだけじゃダメなんだよ。『甘やかす』っていうのが大事なのさ」
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