calling, the other way 久々にオフが重なるのだと、そう気付くのがもう少し早ければと嘆くことには、実に不本意ではあるが慣れてしまった気がする。彼も自分も【メジャーヒーロー】で、彼に至っては『メンターリーダー』であって、何かと多忙な身だ。【HELIOS】が果たして所謂ホワイトな職場かを問うことなど、そもそも『ヒーロー』という職に就いた時点でそれがいかに不毛か嫌というほど理解してしまっているが、けれどもイレギュラー対応に邪魔されさえしなければちゃんと休暇は与えられている。自分たちにとって不運なのは、その立場ゆえに、互いの休みがことごとく重ならないことなのだろう。
らしくもなく、随分と不毛なことを考えてしまっているなと自嘲しつつ、キースはカウチから身を起こした。明日のオフを迎える前に、何かしらやり残した仕事などは無かったかと端末を確認していたら目に入ってしまった恋人のスケジュールに一喜一憂する自分は滑稽なのか、絆されているだけなのか。いずれにせよ今更何か予定を入れるのは困難だろうと早々に見切りをつけ、キースはとりあえず飲むか、とキッチンカウンターへと体を向けた――その時だった。
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