触れるセカイは今日も静かでどこかひんやりと冷たい。凍えるような寒さでもなければ、緊張感のある静寂というわけでもないが、ぬくもりというものはこのセカイ自体にはあまり感じられなかった。
「で、一体なにしてるの?」
しばらく遠くで眺めていたはずのメイコが、ついに動き出して声をかけた。その隣には、珍しさ故と好奇心で近くにはいなかったはずのルカまで寄ってきている。
「こうすると、落ち着くんだって教えてもらったんだ」
メイコとルカの視線を受けたレンは照れくさそうに笑って二人を見上げた。彼の腕の中には二人に背を向けて立つカイトが小さな腕の輪の中に何とかおさまっている。決して動かないカイトの前に、ルカは躊躇いなく回り込んで、その顔をのぞいた。
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