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    yuribaradise

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    創望のSS(途中) 怖い夢を見てしまったぼんの話

    ##ダンキラ

    怖い夢を見たんだ。そう言った望の瞳は不安げな色をしていた。ちょうど今この時刻に迫る宵闇のように、光が届かず途方に暮れている様を映し出しているみたいだった。
    「おばけの夢とか? ぼん、苦手だもんね」
     創真は優しく問いながら望を労わる。しゅんと力無く落ちてしまった肩をさすって、微笑みかけた。
    「ううん、違う……」
     目をぎゅっと瞑って首を思い切り横に振り、望はその問いに対し否定をする。やっと絞り出されたようなその声は僅かに掠れていた。
    「おばけなんかより、もっと怖いヨ……」
    「ぼんがそんなに怖がるなんて……いったいどんな夢を見たの?」
     望が人一倍ホラーやオカルトが苦手なことは創真もよく知っていた。他に彼が怖がるものはあっただろうか。考えてみたが思い浮かばず、再び問いを投げかけるしかなかった。
    「ぼん?」
     返事が返ってこない。きっと聞こえなかったわけではないはずだが、望は顔を曇らせて口を固く結んでいた。何かおかしい。そう感じて創真は呼びかける。もうすっかり呼び慣れたあだ名で。
    「……ソウちゃんが、いなくなっちゃう夢」
     悲痛な涙声は夜の静寂の中に吸い込まれていくようだった。
     創真は目を見開いた。目の前にいる大切な人が、その瞳を濡らしていたから。ひどくつらそうな表情で震えていたから。
    「おかしいって、思うよネ……こんなの、ただの夢だって……だけど、もしほんとになったらどうしよう、って……僕っ……僕じゃ力不足で、ソウちゃんの隣にいられないのカモって、それで……!」
    「ぼん、そんなことない。俺は君の前からいなくなったりしないよ」
     嗚咽交じりに紡ぎ出される言葉はあまりに痛ましくて、それを最後まで聞くなど創真にはとてもできそうになかった。望がまだ喉を震わせる途中でその身を強く掻き抱いて、いつもより数段語気を強めた口調でしっかりと語りかけた。愛する人をこれ以上泣かせたくはないという一心で。
    「ソウ、ちゃ……」
     包み込むように頭を撫でる手に、望は心地良く目を閉じる。頬を一筋の雫が伝っていった。創真はそれを指先でそっと拭い、泣きぼくろをなぞって、愛おしげな微笑みを向けた。そしてその目元に口付ける。
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